「無縁」急増で神戸市が新事業スタート 納骨の生前契約など行政が支援 自分で決める骨壺に「墓友」交流まで 現代の「終末」への備え
■「生前の手続き」サポートする新事業
そんな中、神戸市は6月から、生前に本人が行う「葬儀や納骨の手続き」を支援する事業をスタートさせました。頼れる身寄りがない人を対象にしたもので、葬儀や納骨について市が相談を受け付け、本人と葬儀会社との生前契約につないでいきます。 対象は、65歳以上で年収が230万円以下などの所得制限を満たす人。費用は相場よりも安い、上限36万円とされました。葬儀の宗派や納骨先などの希望にも応じるといいます。 事業開始初日の6月3日は、午前中だけで15件の電話相談があり、10件の予約が入ったということで、ニーズの高さがうかがえます。
■「亡くなってから」では大きな負担
行政が対策に乗り出した背景には、負担の増加という現状があります。 【神戸市福祉局くらし支援課 平野憲司課長】「可能な範囲で身寄りを確認した後、見つからない場合は埋火葬します。(その後)親・きょうだいも調べますが、全てを調べていくと、結構なボリュームになってきます」 親族を探すために戸籍を取り寄せるなど、かなりの手間がかかるほか、火葬などの費用は年間1000万円以上に上ります。
■先行する横須賀市 「私、死亡の時、15万円しかありません」
全国で1番最初にこの事業を始めた、神奈川県横須賀市。過去には火葬した後に、納骨などについての希望が発覚したことがあったといいます。 【横須賀市特別福祉専門官 北見万幸さん】「こういう遺書を書いて亡くなった方が出てきた。『私、死亡の時、15万円しかありません。火葬、無縁仏にしてもらえませんか。私を引き取る人がいません』。遺書の相談を(役所に)恐らくしているけど、相談窓口がないからというので、持ち帰って家の中に置いてあった」 この事業で「引き取り手のない遺体」のうち、約2割が希望通りの葬儀や埋葬の手続きを行えるようになりました。 【横須賀市特別福祉専門官 北見万幸さん】「(親族への調査は)手紙を出しているんです、今は。でも話し合いができない。時間がたってしまう、手紙だと。(本人に)生前に聞くことが勝負なんです」