ECBウンシュ氏、インフレ見通しへのリスクは続くと警告
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、ベルギー国立銀行(中銀)のウンシュ総裁は8日、金融政策が米国と大きく乖離(かいり)した場合のユーロ安を含め、消費者物価には依然としてリスクがあると指摘した。
ウンシュ氏は「賃金の伸びや、賃金上昇の影響力が大きいサービス業のインフレの先行きには、依然として大きなリスクがある。あらかじめ設定された行動指針にコミットする時ではない」と語り、注意を促した。
同氏はフランクフルトでの講演で「為替レートの役割と輸入インフレのリスクは未知数だ」と述べた。ユーロ圏と米国の経済状況や政策が乖離することで、「ドル・ユーロの為替レートに大きな影響が及ぶ可能性がある」と話した。
ウンシュ氏を含むECB当局者は6月の会合で利下げ開始を示唆している。多くのアナリストは、米国の金融緩和が遅れる可能性がユーロ圏にどのような影響を与えるかについて議論している。
ウンシュ氏は「金融引き締めは驚くほど世界同時に進んだが、緩和サイクルが同様の同時性を示すことはなさそうだ」と発言した。
4月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は2カ月連続で前年同月比2.4%上昇。食品やエネルギーなど価格変動が激しい品目を除いたコアインフレ率は低下した。さらに重要なのは、5カ月にわたって4%で横ばいとなっていたサービスのインフレが鈍化したことだ。
ユーロ圏GDP、1-3月は予想上回る成長-インフレ率は足踏み (1)
ECBのチーフエコノミストを務めるレーン理事は6日、最近のユーロ圏のデータを基にインフレ率が目標の2%に戻りつつあるとの確信は強まっていると述べた。
ECBレーン氏、インフレ減速をより確信-6月利下げの可能性高まる
ウンシュ氏は「見通しは依然不透明だが、年内に利下げに踏み切る道筋があるとわたしはみている」と論じ、6月の政策会合では、賃金とサービスの動向について「より多くのことが明らかになるだろう」と述べた。しかし、たとえ不透明な状況が続くとしても、ECBはある時点で決断を下さなければならないとの見解も再び示した。