内灘、かほく液状化対策800億円 国試算、最大で 工期5~10年 側方流動でコスト膨らむ
能登半島地震に伴う液状化で甚大な被害を受けた内灘町とかほく市で、再発防止に必要な対策工事の事業費が最大800億円に上ることが29日、国の調査で分かった。地盤そのものが横に滑る「側方流動」などが発生して被害が広範囲に及び、コストが膨らんだ。工期は5~10年の見通し。両市町は巨額の工事費の捻出方法を検討するとともに住民の合意形成を進め、早期の事業化を目指す。 国土交通省は震災後、現地でボーリング調査などを実施し、結果に基づいて対策の範囲や事業費の概算を算出した。29日、国土交通省の担当者が川口克則内灘町長、油野和一郎かほく市長を順に訪ね、結果を説明した。 国交省は、対策が必要なエリアに内灘町南部・北部の計126ヘクタール、かほく市大崎地区の44ヘクタールを設定。地盤の強度を高める「地盤改良工法」と、地下水をポンプで排出して水位を下げる「地下水位低下工法」の二つを具体的な工事手法として想定し、試算を行った。 地盤改良工法を採用した場合の事業費は、内灘町で最大600億円、かほく市で200億円となった。地下水位低下工法では内灘町220億円、かほく市90億円。事業期間はいずれの工法でも5~10年とみられ、国交省側は2工法を組み合わせた対策案を市町に示したという。 内灘町、かほく市は必要な事業費を賄うため、宅地液状化防止事業など国の補助メニュー活用を検討する。地元住民に国の提案内容を説明し、できるだけ早い時期に工事に着手できるよう環境整備を進める。 2016年の熊本地震で液状化被害に見舞われた熊本市では、市南部の35ヘクタールで地下水位低下工法が実施され、25年度に完了する予定。同市によると、総事業費は130億円で、2分の1を国が補助した。