信大病院 難治性逆流性食道炎に新治療 内視鏡利用5例の経過良好 長野県松本市
信州大学医学部付属病院(長野県松本市旭3)は、難治性逆流性食道炎に対する新しい内視鏡治療に取り組んでいる。逆流性食道炎は胃液などが逆流して胸やけや痛みを起こす疾患で、食生活の欧米化やピロリ菌の感染率低下を背景に国内で増加している。内視鏡の治療は薬が効かない場合の選択肢として2年前に保険適応され、信大では昨年9月から5例実施していずれも良好に経過している。 現代の日本人は、高脂質の食事やピロリ菌の除菌が進んだことでかつてと比べ胃酸の分泌が増加。脂質の過剰摂取や加齢も要因に胃の入り口(噴門)が締まりにくくなり、逆流が起こる。患者は60、70代が多く、炎症を伴わない症状も含めると日本人の3人に1人ほどの割合で発症するという。 新たな治療は、胃がん治療の技術を応用して日本で開発された。噴門周りの粘膜を部分的に内視鏡ではぎ取って縫い合わせ、治癒の過程で傷が収縮することで噴門が締まる。所要時間は1時間程度、入院期間も5、6日と患者への負担が小さい。 信大病院では、専門的に学んだ消化器内科の准教授・岩谷勇吾医師(45)が手掛けている。逆流性食道炎には胃酸の分泌を抑える薬が有効なため難治性の患者はまれといい、岩谷医師によると北陸・甲信越で内視鏡の治療を定期的に実施しているのは同病院のみ。 岩谷医師は「生死に関わる症状ではないため(難治性は)見過ごされてきたが、日常生活の質を下げてしまう。困っている患者さんに新しい治療を知ってもらえれば」と話し、かかりつけ医へ相談するよう呼び掛けている。
市民タイムス