高学歴ドラァグクイーン「八方不美人」私たちが昼間のショッピングモールで歌える日が来るなんて!
◆生きづらい人たちを歌で応援したい エスム そんな現実の中で、ドラァグクイーンとして歌って踊って、みんなに楽しんでもらえることは自分のアイデンティティよね。 ドリアン わたしはどんな格好をしていてもモテるけど(笑)、正直な話、女装するとゲイの間ではモテなくなっちゃう。ゲイは往々にしていわゆる《マッチョ》なタイプが好きだから。でも、ドラァグクイーンとしてみんなから拍手をもらうことで、強力な自己肯定感が得られるのは確かよね。 エスム それにつけても、八方不美人が『婦人公論』さんに取材していただけるなんて。近頃は、ゲイに対する世の中の反応も大いに変わってきているって感じますね。同性婚が認められるようになったり、LGBTに関する社会の理解も深まっているし。 ドリアン 本当に! わたしたちドラァグクイーンが、青空のもと、昼間からショッピングモールで歌うなんて、昔だったら絶対にありえない。わたしが2丁目デビューした頃だって、ドラァグクイーンはもっとアンダーグラウンドな存在だったから。 ホイみ いろんなことができる可能性が広がったので、わたしたちゲイにとってはありがたい話です。コロナが落ち着いたら、定期的にライブもやっていきたい。今って、世の中がすごく窮屈で、決められた常識の枠の中にすべてを押し込めようとしている感じが強いので、その枠をわたしたちの歌で破れたらいいなって。 ドリアン そもそもドラァグクイーンってそういうもの。「男らしさ」や「女らしさ」を笑い飛ばして、「こうあるべき」という世間の価値観を揺り動かしていくのがわたしたちの役目だから。 エスム 世の中の「正しい」とか「普通」から逸脱した存在だもの。 ドリアン 新曲の「地べたの天使たち」でも、「いろんな生き方がある。何が正解かなんてべつに決めなくていいね」って歌っています。世間の「正しさ」からはずれて、生きづらさを感じている人に、ぜひ聞いてほしいなぁ。 エスム わたしたちだって、まさかメジャーデビューできるなんて思っていなかったもの。「自分の人生なんて、こんなもの」とあきらめている人たちに、「いやいや、最後まで何が起こるかわからないよ」っていうメッセージを一人でも多くの人に伝えていけたら。 ドリアン そのためには、まず『紅白歌合戦』に出なきゃ! ホイみ そうそう、紅組でも白組でもどちらでもOKなので、あとはNHKさん次第。(笑) エスム 大晦日のスケジュールは空けてあるので(笑)、スタンバイはバッチリです! (構成=内山靖子、撮影=本社写真部)
エスムラルダ,ドリアン・ロロブリジーダ,ちあきホイみ
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