尽誠打線観察、151キロ直球勝負 智弁和歌山・小林樹、3回3K無失点 交流試合
2020年甲子園高校野球交流試合は最終日の17日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われ、第2試合で智弁和歌山は尽誠学園(香川)に1―8で敗れた。 【写真特集】特別な夏・智弁和歌山vs尽誠学園 1年ぶりに立つ甲子園のマウンドは、打者がよく見えた。 八回2死、打席には尽誠学園の4番・仲村。六回から登板した智弁和歌山の右腕・小林樹は、4球直球を続け、最後もこの日最速タイの151キロの高めの直球で空振り三振に仕留めた。最初から全球直球勝負と決めたわけではなく、1球ごとに相手の仕草を観察し「直球に反応ができていない」と判断した結果だった。 1年前は打者を見る余裕がなかった。2度目の甲子園で初先発だった昨夏3回戦の星稜(石川)戦。「良い球を投げたい、投げたいと自分中心の投球だった」と、四回途中1失点で降板した。一方で星稜・奥川恭伸(現ヤクルト)の冷静な投球を目の当たりにした。「奥川さんと投げ合えたのは野球人生においてプラス」と目指す投手像を手に入れた。 自分自身と戦うのではなく、打者と駆け引きをするには実戦経験が必要と考え、体力強化期間の冬場も打者を立たせて投げ込んだ。球速は148キロから、今夏には最速152キロまで到達。「6、7割の感覚」で140キロ台後半の直球が投げられるようになった分、打者を観察できる余裕も生まれた。 3回を3奪三振無失点。「昨年より、少しは奥川さんに近づけたかな」。成長を実感した42球だった。【安田光高】