【新春インタビュー ソフトバンク・斉藤新3軍監督】若鷹育成へ「自分自身をまず変えないと」
選手を成長させるために自らも成長する。ソフトバンクの斉藤和巳新3軍監督(47)がスポニチの新春インタビューで、若鷹育成への熱い思いを語った。巨大組織の中でいかにして輝かせていくか。昨季4軍監督として培った経験も生かし、未来ある若手選手を一人でも多く導いていくことを目指す。 (聞き手・木下 大一) ――昨年は4軍監督を務めた。振り返って大変だったことは。 「やっぱり選手のモチベーションが一番大変やったかなと思います。4軍といっても試合では3軍選手が3分の2いるので。育成選手は7月いっぱいが(支配下昇格の)期限というのを凄く意識している。感情の変化が見えてくるし、気持ちは察するところでもあるので」 ――そのような時期はどう接したのか。 「この世界で生き残り、支配下になりたいと思うのであれば、8月に入った時点で来年を見据えないといけない。そういう話しかできないですしね。選手には何回も言ったけど、自分の時間をどれだけ自分で使えるか。周りに流されずできるか。それができないと常にしんどい時間は続くという感じはしますね」 ――チームは巨大戦力で3、4軍選手からすれば遠い道のり。特に育成選手の場合は、アピールしたくても2軍公式戦に出場できる人数は5人までと限られてもいる。 「気持ちは分かるけど、そこで腐ってもしょうがないんでね。結果だけじゃなく、どれだけチームに必要とされる選手になれるか。自分の状況を変えるなら自分自身をまず変えないといけない。例えばもっとガツガツやったり、チャンスをあげたいと思わせることも必要。多くの人に応援されるプロ野球選手である以上、周りの人の感情をどれだけ動かせるかも大事。そういった話はしますね」 ――育成選手を多く抱えるチームの難しさでいえば、和巳監督も施設見学中にタマスタ筑後で会ったとのことだが育成1位指名の古川遼投手が入団辞退の決断をした。 「彼に関しては大したもんやなって思います。18歳で地に足を着けて考えられている。指名された時は喜んでいたみたいだけど、しっかりと現実を突きつけられた時に考えた結果、勇気を持って決断したわけで。縁があって4年後にホークスが支配下でまた指名して入団となったりすれば、彼の野球人生のストーリー、ドラマとしては凄く面白いなとも思いますね」 ――新春インタビューということで3軍監督としての25年の目標を聞きたい。 「目標は…。成長したいですね。去年、遠征に行くたびにコーチとスタッフとで食事会を開いたりしていろいろ話したんですけど。まずはわれわれが成長しようと思わない限り、人を成長させることなんて難しいと思うのでね。どれだけ実績があっても、年齢が上でも、人として100%ではない。でも、そこは目指さないと誰かにものを言う権利はないと思うので」 ――勝敗などの結果とは異なる仕事なだけに大変さがある。 「そこは去年やって承知していること。なんで分からんのやろうって思う時もあるけど。彼らに分からないことがあるのは当たり前なのでね。少しでも頑張ろうっていう意欲を持たせるために、どうするかをコーチ、スタッフ、コーディネーターの人たちとやっていきたいですね」 ◇斉藤 和巳(さいとう・かずみ) 1977年(昭52)11月30日生まれ、京都府出身の47歳。南京都(現京都広学館)から95年ドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)入団。通算成績は150試合79勝23敗、防御率3・33。沢村賞を2度(03、06年)受賞。23年は1軍投手コーチ、昨季は4軍監督を務めた。1メートル92。右投げ右打ち。