耐震を免震に 大阪・通天閣の工事完了で天井画も復刻
耐震を免震にして大天井復活──。大阪のシンボルとして知られる「通天閣」(大阪市浪速区)は3日、約9か月にわたり行われていた免震工事を終了。同時に初代・通天閣にあったエントランス吹き抜け大天井の天井画を復活させライトアップさせる竣工・点灯式を行った。
市道またぎ免震工事、営業しながら世界初の工事に
現在の2代目通天閣は、1956年に完成し今年で59年となる。開業時から震動計測が継続的に実施し鉄骨造建物として構造的な劣化は進んでいなかったが、2011年の東日本大震災を受けての最新耐震診断で「塔の一部が変形する恐れ」があることが分かり、免震化に踏み切った。 設計・施工は竹中工務店が引き受け、昨年の8月ごろから準備に取り掛かっていたが、通天閣が市道をまたぐ構造の上「営業したまま」施工するという難工事。こうした工事は世界初の試みだという。
社長「一応、通天パリスと呼んでください」
今回の工事について、通天閣の西上雅章社長は「今まではこの天井は配管などが見えていて、無機質な感じではございましたが、こうしてきょう初代の天井画が復刻しました。父親(通天閣元社長の一さん)から聞いておったきれいな天井ができてうれしい」と笑顔で話した。そして最後に「一応、通天パリス(Tsuten Paris)と呼んでください」と話し、集まった人たちの笑いを誘った。 また、工事を担当した竹中工務店大阪本店作業所長の永野顕さんは、式典の様子を優しい笑顔で見つめる。コメントを求めると「きょうは裏方なので」と拒否しながらも「本当に住民の皆様のご理解があったから工事が出来たとおもいます」となどと話していた。
近所の女性「きれいになってうれしい」
点灯の様子を見に来た近所の50代の女性は「ずっと工事をしていたから中がわからんかったけど、最近板がはずれてきれいになったんで、きょうはワクワクしてきた。なんかきれいになってうれしいですね」などと笑顔で話していた。 初代・通天閣は1903年に建てられたが、1943年にすぐ下にあった映画館が火災となり、脚部が焼けるなどし、軍需資材としての鉄材献納のために解体されている。そのため、こうして復刻し登場したのは72年ぶりということになる。