青学・明治・立教系など「MARCH付属」人気が急上昇しそうな2025年の中学入試、その背景にある“高大連携”の動き
■ 「大きな変革」で最も注目されている付属・系属の3校 ここまでMARCH系の付属の話をしてきたが、付属校、系属校に注目が集まっている最大の要因は以下に取り上げる3校にある。 【日本学園】 2026年に共学化して学校名が「明治大学付属世田谷」になる同校。日本学園(男子校)としての最後の入試であるが、各種模試の志望動向を見ると、3回の入試回すべてが150%もの増になっている。難度もさらに上がると思われる。 【宝仙学園順天堂大学系属理数インター】 宝仙学園理数インターと順天堂大学は2023年5月に高大連携協定を結び、2024年3月にもう一段発展した形で2024年3月に系属校の関係となった。2025年入試はその最初の入試のため話題となっている。「医学進学コース」が設けられることでも注目されている。 【順天中学】 2026年、学校法人順天学園と学校法人北里研究所が法人合併することになっている。つまり、順天中高が北里大学の付属校になるため、志望者増の可能性が高い。 このようにここへきて中高と大学との関係が緊密になっている。もちろんこの背景には急激な少子化がある。中高、大学ともに生き残り策としてパイプを太くしていこうとしているわけである。
■ 大学の“年内入試”の影響が中学受験にも 最後に、大学入試事情から付属校・系属校人気の要因を考えてみよう。あまり知られていないことだが、有力大学において一般選抜の募集枠が年々狭くなっている実態がある(別掲表参照)。 20年前と比べると、ほとんどの大学で一般選抜枠が縮小している。20年前には60%台だった早稲田大、慶應義塾大は50%台しかなく、70%台だった明治大、青山学院大、立教大も60%台に縮小している。一般選抜枠が拡大しているのは表の7大学では中央大と法政大しかない。今回、日東駒専(日本大、東洋大、駒沢大、専修大)のグループも調べてみたが、拡大しているのは専修大のみだった。それだけ付属校・系属校からの推薦枠も増えているのだ。 近年の例だけ見ても、中央大学附属横浜(前横浜山手女子)、青山学院横浜英和(前横浜英和女学院)、目黒日本大学(前日出学園)、青山学院大学系属浦和ルーテル学院(前浦和ルーテル学院)といった学校が付属、系属、準付属となっている。中学受験の保護者はこうしたことをよく分かっているのだ。 わが子の大学受験時には一般選抜枠がさらに狭き門になるのではと警戒し、進学校に進んだときに一般選抜で進学することの大変さを考えて、付属校、系属校に入れようとしているのだろう。 近年、大学入試は“年内入試”(総合型選抜と学校推薦型選抜)で合格する受験生が急速に増えている。実際、私立大学では今やおよそ60%が年内入試での入学である。 受験生の親世代は「大学入試といえばほぼ一般入試」を意味していたが、いまや一般選抜での合格、入学は厳しい。そうした大学入試の現状も付属校、系属校志向を後押ししているのである。
安田 理