中国「トランプショック」に備え14年ぶりに金融危機水準まで金融緩和へ
米国の第2次トランプ政権発足を約40日後に控え、中国が適切な水準で金融を緩和するというシグナルを送っている。高率関税などトランプ氏の「中国たたき」に備え経済的な安定を図るための措置とみられる。 中国国営新華社通信は10日、「(前日に中国の最高意志決定機関である)中央政治局が来年の経済政策を議論し、通貨政策の場合『安定』から『適切な緩和』へ、財政政策は『積極的に』から『一層積極的に』へ基調を変えることに決めた」と伝えた。これは通貨供給と財政支出を同時に増やす準量的緩和に当たる。 政治局会議はまた、「国内需要を拡大し、不動産と証券市場を安定させ、重点領域のリスクと外部衝撃を防止・緩和することに決めた」と明らかにした。こうした決定をめぐり専門家の間では「中国内の景気萎縮、トランプ氏が予告した高率関税など内外の衝撃に備えたもの」という見方が出ている。 中国が通貨政策で「適切な緩和」の基調を採択したのは2008年の世界的金融危機後に中国当局が景気浮揚に出た2009~2010年以降で初めてだ。中国は2011年からは中立に近い「安定」基調を14年間維持してきた。 広開首席産業研究院の連平首席エコノミストは「30年間中国の通貨政策は『緊縮』『適切な緊縮』『安定』『適切な緩和』『緩和』の5段階に区分される。客観的な情勢変化により『安定』を中心に緊縮と緩和の間で柔軟に調節しながら経済安定を維持してきた」と経済紙財新に説明した。 こうした基調変化をめぐり「2008年に米連邦準備制度理事会(FRB)が流動性供給を拡大した量的緩和を参考にしたもの」という分析が出ている。国際金融センターのイ・チフン研究員は「トランプショックに備えて内需に前もって必要な流動性を供給するという意志を示したもの」と話した。 中国の習近平国家主席は今年5%成長を楽観している。その一方で苦難が数年続くだろうという懸念もともに出した。 市場はこうした決定を喜ぶ姿だ。香港ハンセン指数は前日、政治局会議のニュースに2.8%上昇して取引を終え、ハンセン中国企業指数は3.14%上がった。 中国経済金融研究所のチョン・ビョンソ所長は「内需振興の核心である不動産と証券市場の安定に言及したが、9月の会議より表現の抽象性が高まった。もうすぐ開かれる中央経済工作会議と来年3月の全人代で提示される具体的な数値と内需浮揚策に注目する必要がある」と話した。