月1万円の貯金も難しいのに…… 奨学金を借りて、ちゃんと返せるものなのでしょうか?
奨学金を借りて大学へ進学することを検討している人、奨学金を借りて大学を卒業した人は、奨学金を返還できるのかどうなのかについて悩む人もいるのではないでしょうか。社会人になって給料をもらうようになり、月1万円の貯金もできるか分からないなかで、返還は難しいと考える人もいるでしょう。 本記事では、奨学金の未回収額がどのくらいなのか、返還できないとどのような問題が起こるのか、返還が難しい場合に利用できる制度などを解説します。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
奨学金の未回収額は789億円
独立行政法人日本学生支援機構の「返還金の回収状況及び令和2年度業務実績の評価について」によると、奨学金の未回収額は789億円です。回収率は89.9%、要回収率は11.1%で、正しく返済を行っている人の割合が高いものの、滞納する人がいることも決して珍しい状況ではありません。
奨学金を返還できないとどうなる?
奨学金を返還できない場合、以下のように本来よりも多くの支払いが必要となり、一定期間はローン契約やクレジットカードの作成ができなくなる可能性が高いです。 ・延滞金が発生する ・信用情報機関に登録される 後から奨学金を返還しても、上記の問題が解決することはありません。それぞれについて解説しますので、奨学金の返還を行うことの必要性を正しく理解しておきましょう。 ■延滞金が発生する 奨学金の支払いを遅延した場合は、図表1のように延滞金が発生します。 【図表1】
■信用情報機関に登録される 奨学金を返済できず、延滞が3ヶ月以上続くと、信用情報機関に個人信用情報が登録されます。クレジットカードやローンの審査を行う際に、申込者の経済的信用を確認するために参照するのが個人信用情報です。過去の延滞が理由で「同様のトラブルを起こすかもしれない」と懸念されてしまい、ローン契約やクレジットカードの作成ができなくなる場合があります。 個人信用情報に情報が登録されると、延滞を解消しても一定期間(返還完了から5年間)は削除されません。住宅や自動車といった高額な買い物をする際には、ローン契約ができず現金での支払いを余儀なくされます。