「それって陰謀論じゃないですか?」闇の国家「ディープステート」を信じる著名人一人一人に会ってみたら…どうなった?
インターネットを通じて情報が手軽に得られるようになった一方で、根拠に乏しい「陰謀論」も拡散し、人々に影響を与えている。その一つである「ディープステート」は、奥深くにある(DEEP)国家(STATE)が政府をひそかに操っているとの考え方だ。その存在を語る人々の中には、「あの人も?」と驚くような政治家、著名人もいる。 【写真】質問に対し誤った回答をしたチャットGPTの画面 政治的な「偏り」に批判、陰謀論拡散の懸念も 23年
一人一人に会い、話を聞いてみると、誰もが熱心に自説を展開する。世の中で起きていることの背後には、何者かのたくらみがある――。ネット情報に依拠し、荒唐無稽とも言える主張に、なぜ染まってしまったのだろうか。(敬称略、共同通信=佐藤大介) ▽「覚せい」した元総務相 東京・永田町の議員会館。立憲民主党の衆院議員で元総務相の原口一博は、硬い表情で振り返った。 「その存在を認識するようになったのは2002年のこと。日米地位協定の改定案を議論していたら、米中央情報局(CIA)の日本担当を名乗る人物から、内容が好ましくないと言われた」 「その存在」とは、強大な権力を持った「ディープステート(闇の政府)」を指す。「詳しいことは言えないが、総務相時代も何度か政策への横やりが入った」 原口はディープステートが存在していると公言し、交流サイト(SNS)などで発信している。では、それはいったい、どんな組織なのか。
原口の説明はこうだ。「米国の軍産複合体に巨大なグローバル資本が加わり、実質的な決定権を持っている」「アメーバのような組織で、権力を持つと止められない」「日本は従属するポチだ」。だが、その言葉から具体的な像を描くのは難しい。 ディープステートが世界を操っているという考えは、荒唐無稽な「陰謀論」に分類される。同じ世界観を述べる原口に、党内からは「イメージの低下につながる」(中堅議員)といった批判や戸惑いの声も少なくない。 原口は反発する。「陰謀論と決めつけること自体が陰謀だ。ディープステートの言うことに従っていれば、日本は滅びてしまう。自主独立が必要だ」 原口は2023年9月、立憲民主党幹事長の岡田克也から口頭注意を受けた。理由は、動画投稿サイト「ユーチューブ」内の番組で、現在のウクライナが「ネオナチ政権」と取られかねないような発言をした点。その前月の8月にも、新型コロナウイルスワクチンへの反対論を繰り返したとして口頭注意を受けている。