スティック型掃除機の新機種相次ぐ…共働き世代に向け、ミスト噴霧やゲーム感覚のこだわり機能
高機能なスティック型の掃除機が相次いで登場している。ミストを噴霧して微細なごみを浮き上がらせたり、ゲーム感覚で掃除が楽しめたりと、各メーカー「こだわりの機能」がそろう。機能の充実は価格の上昇にもつながるが、メーカー側は掃除の手間を省きたい共働き世帯を中心にアピールしている。(坂下結子)
パナソニックは10月下旬、スティック型の本体を充電スタンドに戻すと、スタンド内の紙パックにごみが自動で吸い込まれる「セパレート式」の新機種を発売した。新たにノズルからミストを噴霧し、床のくぼみのごみを浮かび上がらせて吸い込む機能を備えた。
直販の税込み価格は8万9100円と掃除機全体の平均の3倍超に達するが、八日市工場(滋賀県東近江市)にある新機種の生産ラインはフル稼働の状態という。中路智久商品企画課長は「コロナ禍を経て衛生意識は高まっている。忙しい共働き世帯や子育て世帯に使ってもらいたい」と話す。
シャープも、8月に発売した新機種にセパレート式を採用した。共働き世帯を意識して早朝や夜にも使いやすいようにと、音を出さずに飛ぶフクロウの羽やサメのエラの構造を応用し、静音性を高めた。
日立グローバルライフソリューションズは9月、現実世界とデジタルの映像を重ね合わせるAR(拡張現実)技術を活用し、ゲーム感覚で掃除ができる新機種を発売した。掃除機をかけると、スマートフォンの画面上でその場所が塗りつぶされ、達成感が味わえる。
掃除を効率化したいというニーズは強く、手軽に扱えるスティック型の人気が高まっている。日本電機工業会によると、昨年度、国内で出荷された家庭用掃除機535万台のうち、スティック型は7割弱を占める。
調査会社GfK/NIQジャパンの新井沙織シニアマネジャーは「スティック型は『一人暮らし用』や『2台目用』だったが、今やメインで使う掃除機となっている。今後も需要は緩やかに伸びる」と話している。