「自分の中にこんな部屋が」63歳で父になったクリス・ペプラーの新鮮な気づきと「子育てではいい人格を心がける日々」
── たとえばどういうところでしょう? クリス・ペプラーさん:娘に対する温かい接し方は愛情たっぷりだし、優しい表情、無邪気に笑っている顔を見ていると、すごく幸せな気持ちになります。「ああ、やっぱりこの人は、すごく優しくて心がきれいな人なんだな」と。だから僕は、彼女と結婚したんだったなと、あらためて妻への愛情を実感しています。 育児で大変な場面でも、イライラしたりすることもなく、常に娘と一緒に楽しむ姿勢で向き合っている。きっと、娘に対して、いい母親でいようと、彼女なりに懸命に努力して、自分をコントロールしている部分もあるんだと思うんです。娘にとって100点満点のお母さんだし、僕にとっても、彼女が奥さんでよかったなと心から思います。
■娘にとっていい父親でいることとは ── すごく素敵な、最高の誉め言葉ですね。育児で忙しい日々だと思いますが、夫婦水入らずで過ごすこともあるのでしょうか? クリス・ペプラーさん:そうですね。やっぱり夫婦の時間も大切にしたいと思っているので、たまに親族に娘の面倒を見てもらい、2人で映画やライブなどを楽しんだり、食事に行ってゆっくり話をしたりします。 とはいえ、まだ子どもが小さいので、家で過ごすことがほとんどですね。子どもが生まれる前までは、友達とも飲みに行ったりすることが多かったけれど、今ではすっかりなくなりました。子どもを交えて、友人家族とイベントをしたり、ディズニーランドに行ったりと、家族単位で遊ぶことが増えましたね。
学校行事にはなかなか参加できていないので、僕自身はまだ、ほかのパパたちと仲良くする機会は少ないのですが、妻はママ友をどんどん作って楽しそうにしています。娘はインターナショナルスクールに通っているので、妻にとって、いろいろと新鮮で新しい世界に刺激をうけているようです。英語もメキメキと上達していますし(笑)。彼女にとっても、子どもの存在は、新しい自分との出会いになったのではないかなと思っています。 今の人生の目標は、娘にとっていい父親であること。やっぱり子どもは親を見て育ちますから、親がイライラしていたり、不満や悪口、文句ばかり言っていたら、それを感じ取ってしまうし、体に染み込んでしまうと思うんです。だから、人として恥ずかしくないような行動をとって、「こういう風に育ってほしい」という姿をみせていかないといけないなと思っているんです。ネガティブな感情はできるだけ抑えて、「いい人格」になるように努力中です。最初はちょっと無理やり演じるような感じになるかもしれないけれど、続けているうちに身について、ホンモノになるんじゃないかと思っています。
PROFILE クリス・ペプラーさん 1957年生まれ、東京出身。TV・ラジオ、パーソナリティ。FMラジオ局J-WAVEが1988年に開局すると同時にナビゲーターとして抜擢され、36年間に渡り「TOKIO HOT 100」のDJを務めている。TVやCM、イベントMCなど、幅広く活躍中。 取材・文/西尾英子 写真提供/クリス・ペプラー
西尾英子