「またトラ」は日本経済にどう波及?トランプ新政権の経済政策の影響を占う(前編)
2025年1月20日、アメリカでトランプ氏が再び大統領に就任する。関税引き上げや、経済政策による為替への影響がすでに取り沙汰される中、「またトラ」は日本経済にどう影響するのか?前編では、株・為替と日本経済全体への影響、日本企業の受け止めについて解説する。 (日本テレビ経済部) 【図解】“またトラ”で日本経済はどうなる?選挙勝利後にはドル高・円安、ビットコインが過去最高値を更新
■「またトラ」の影響 ベースとなる株・為替の動きは?
トランプ次期政権の政策の影響について、日本企業が最も大きな関心を寄せるのが「為替」だ。東京商工リサーチが2024年12月に実施した、全国約6000社への調査では、トランプ政権の政策の注目点として「通貨・為替政策のあり方」を挙げた企業が全産業で最多の52.4%になった。 2024年12月下旬には、ドル円相場は1ドル=158円を上回るところまで円安が進んだ。大統領選終盤からトランプ氏当選直後にかけては、トランプ氏の掲げる追加関税の導入や移民制限の政策がアメリカの物価高を継続させ、中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の利下げを遅らせるとの見方から、ドル高・円安が進み「トランプ・トレード」と称された。 さらにFRBが12月の金融政策を決める会合後に公表した2025年の経済見通しでは、2025年の利下げ回数が前回9月の4回から2回に半減。年末のドル買い・円売りの要因となった。
ただ、トランプ政権発足後の為替の動きについては、「どこかでドル安・円高に転じるのではないか」との見方も出ている。ある市場関係者は「追加関税は、相手国からの報復関税でアメリカ経済がダメージを受ける可能性もある。トランプ減税も、2期目の今回は余地が限られている上に、イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)が急速に歳出削減を行えば、GDPの下押し要因になる。全体としては米景気を減速させる可能性がある」と解説する。 つまり、追加関税による物価高と景気減速・悪化が同時に起これば、アメリカの通貨安からドル安・円高になりやすい、という指摘だ。そもそも、トランプ氏本人も、アメリカ製品の輸出に有利なドル安を好むとされている。 トランプ新政権の政策や方向性は、ドル高とドル安の要因が両方とも混在していて、その“綱引き”によって為替も左右されそうだ。複数の市場関係者に話を聞くと、方向性が読みにくいものの、1ドル140円~160円くらいのレンジでの動きを予想する関係者が比較的多い。 日本株の動きも、アメリカ経済の動向やドル円相場の影響を受けやすい。仮に円高局面になれば、日経平均株価も上昇しにくい展開になるリスクがある。