書類送検の高校生「アートに興味」犯罪である“落書き” 複数の罪や高額賠償あり得るもなぜ後を絶たないのか
このように落書きには大きな代償が伴うことになるが、なぜ後を絶たないのか。「写真でわかる世界の防犯」などの著書がある立正大学の小宮信夫教授は、落書きの原因となくすためのポイントを3つ挙げる。
立正大学の小宮信夫教授: 「分かりやすくいうと自己アピールですね。自分の存在感を示すとか、自分の価値、存在している意味そういったものを社会に知ってもらう、知らしめるということだと思いますよ。自分がここにいるんだよっていうのをアピールしたいがために、落書きをするという」 集団の中で「孤立している」と感じる少年が多いのではないか、置かれた境遇やストレスなどが影響しているという。 2つ目は、落書きを「放置してはいけない」ということだという。アメリカで提唱された「割れ窓理論」に基づいている。 「管理が行き届いていないところで、犯罪が起きやすくなる」という考えで、例えば、割れた窓や落書きを放置していると「ここには落書きしても平気なのかな」と考え始める人が出てきて、それが次第に当たり前になっていく。そして他の犯罪も増え、最後は強盗や殺人などの凶悪犯罪の発生につながってしまうという考え方だ。
アメリカのニューヨークは、1980年代まで地下鉄で強盗が横行するなど「犯罪都市」の代名詞とも呼ばれていたが「割れ窓理論」に基づいて「車両の落書きを消す取り組み」を行ったところ、5年後、落書きがゼロになったとされている。また「無賃乗車」の取り締まりも強化すると、強盗の件数が85%も減少したという。「軽微な犯罪」を減らすことで、凶悪犯罪そのものを減らすことに成功した町として知られている。
小宮信夫教授: 「書かれた落書きをすぐに消せば、自分でも見られないし他人にも見てもらえない。だからやる気がなくなってくる。諦める。それが1番の対策」 鉄則は、落書きを見つけたらいち早く消す。落書き犯のやる気を削ぐことで、被害の拡大を防ぐことができるという。