日本にこんな博物館があったとは!頭蓋骨がズラリと並ぶ「シャレコーベ・ミュージアム」に行ってみた
「生き方や感情は顔つきに現れる」と言う著述家の楠木新さん。多くの人を取材し、さまざまな「顔」に接してきた経験から、いつしか「顔の研究」がライフワークになったと言います。連載『豊かな人生を送る「いい顔」の作り方』第6回は、数々の頭蓋骨が展示された「シャレコーベ・ミュージアム」を筆者が訪れ、体験したことや感じたことをお届けします。 【この記事の画像を見る】 ● 本物やレプリカの頭蓋骨コレクション 建物内には8000点以上が保管される 2024年11月3日に、兵庫県尼崎市にある「シャレコーベ・ミュージアム(skull museum、頭蓋骨博物館)」に行ってきました。 国道2号線に沿った白い建物の正面の壁には「世界初!頭蓋骨博物館」の文字とドクロのマーク。その横側には大きな頭蓋骨のレプリカが貼り付けられています。「SKULL MUSEUM」という入り口のアーチをくぐって、裏手にある入り口に回るとその建物がドクロの形をしていることが分かります。 展示スペースは1階から3階まで3フロアあり、各フロアの展示棚には、本物の頭蓋骨やレプリカの頭蓋骨がずらりと並ぶとともに、ドクロに関係したアクセサリー、絵、文具などのアイテムもありました。 館内には約1000点の展示がありますが、現在は全体で8000点以上のコレクションがあって建物内の収納庫などに保管されているそうです。
● シャレコーベのことを いつも考えていた この博物館を設立して一般公開したのは、元関西医科大学脳神経外科教授の河本圭司氏。1988年にサンフランシスコで国際学会があり、たまたま立ち寄った骨董品店で、装飾された本物のシャレコーベを見つけて、全身に電気が走るような衝撃があった。この時以来、シャレコーベのコレクションを意識して収集を行い、2011年11月に一般公開を始めたそうです。 実は、私は今年の夏にもこのミュージアムを訪れました。きっかけは、自宅近くの交番の前にあった警察署の広報板。「バラバラの遺体被害者」という見出しのポスターが貼ってあり、40代と60代の2通りに提示された「復顔似顔絵(イメージ画)」と被害者の特徴が描かれていました。 それを見て「白骨化した頭蓋骨から顔のイメージを復元したものだろう」と推測し、そこから色々と関連事項を調べていたら「頭蓋骨博物館」を見つけ、足を運んでみたのです。 今回は、イベントがあると聞いてやってきました。 当日は、2019年8月に75歳で亡くなった河本教授の娘さんで、現在館長を務めている山本佳代さんが「シャレコーベ ミュージアムの豆知識」を説明してくれました。 河本教授は、自宅でも博物館内でもシャレコーベのことをいつも考えながら過ごしていたそうです。ただ、河本教授がこの博物館をオープンさせたのは、単なるコレクションの収集を見てもらうためではなく、奥深いテーマがありました。 山本館長の説明では「誰もが、死んだらみんな同じ姿になる。ドクロを見ながら『生きている』ということを考えてほしい」と河本教授はよく語っていたそうです。 私は、今まで関心を持ってきた「顔」の意味合いを深めるためにも教授の本に目を通してみました。河本教授には『アトラス頭蓋骨学―基礎と臨床』という専門書の著作があるほかに、一般向けに『カラーで見るシャレコーベの謎紀行』(いずれもメディカ出版)も執筆されています。 後者の本の前書きには「シャレコーベを通して、ヒトとは何か、人生とは何かなど、人間の探求に迫るものがあるのではないかと思うのです」と述べられています。