贈与のキホン…生活費や教育費、離婚による慰謝料・財産分与は非課税財産【相続専門税理士が解説】
贈与税の非課税財産とは?
贈与税の非課税財産として、法人からの贈与財産、扶養義務者からの生活費・教育費、社交上必要と認められる慶弔祝金等、離婚による財産分与によって受け取った財産があります。 ◆法人からの贈与財産 法人からの贈与財産には贈与税は課されません。所得税および住民税が課されます。 ◆扶養義務者から通常必要とする生活費または教育費 扶養義務者から受ける通常必要とする生活費や教育費に贈与税は課されません。たとえば、一人暮らしの子に対する生活費や学費の仕送りです。子どもが受け取ったお金で株式投資や不動産投資などを行った場合には、贈与税が課されます。 ◆社交上必要と認められる慶弔祝金 個人から香典、年末年始の贈答、見舞金、祝物などを受け取った場合、社会的な常識の範囲内であれば、贈与税は課されません。 ◆離婚による慰謝料や財産分与により受け取った財産 離婚があった場合に支払われる慰謝料や財産分与に対して、贈与税は課されません。
贈与税の申告と納付
申告と納税の実務について解説しましょう。 贈与税の申告書の提出義務者は受贈者です。贈与財産が基礎控除額110万円を超える場合、贈与税の申告書を提出しなければなりません。 ただし、贈与税の配偶者控除、相続時精算課税制度、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度などの特例を適用する場合は、贈与税額がゼロになる場合であっても、申告書を提出しなければいけません。 申告書の提出先は、受贈者の住所を所轄する税務署、申告書の提出期限は、贈与のあった年の翌年の2月1日から3月15日です。 贈与税の納税は、原則として、申告書の提出期限までに現金で一括納付することとなっています。期限内に納税されなかった場合、延滞税や加算税が発生し、税負担が一気に重くなります。 なお、贈与税額が10万円を超えていて、現金で一括納付することが困難な場合には、5年以内の分割払いができる場合があります。これを延納といいます。物納は認められていません。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄