「審判なしの試合」で、人間的な成長も促すLiga Agresiva千葉
自分たちでジャッジする試合
第1試合は千葉商科大付属高校と日本大学習志野高校の対戦。 投手の球を受けると、捕手はやや遠慮がちに「ストライク」「ボール」などとコールしている。打者は、それにうなずいたり、ちょっと首をひねったりしている。当初は微妙な空気が流れたが、次第にいつもの試合のように、ゲームそのものに集中し始めた。 昭和の時代、小学生は学校が終わると近所の公園や空き地にグローブやバットを持って集まり、野球ごっこに興じたものだが、そういうときも審判はおらず、仲間が自分たちでジャッジをした。そういう経験がある世代は「審判なし」の試合もある程度理解できるだろうが、野球体験の始まりが「チームに入団して大人に指導され、審判のいる試合でプレーする」ことだった今の世代には、戸惑うことが多かったはずだ。 塁上のアウト、セーフの判断では、走者自身がアウトだと判断して退くケースが多かった。 指導者が野手に「アウト、セーフジャッジして、言わないとダメだよ」と声をかけるケースもあった。
スポーツのあるべき姿を求めて
「審判の負担を軽減する意味もあって、今日は審判なしで試合をしています。選手たちは普段ジャッジを受ける側なのですが、こういう試合を経験することで、例えばキャッチャーは審判にストライクにとってもらいやすい捕り方もわかると思うんです。 このリーグではスポーツマンシップを学んでいます。その認識を持って、アウトかセーフを選手同士で判断するのも一つのやり方かな、と思っています。 それに、私たちのサポートを極力減らして、試合全般に選手が関わるのも、いいことではないかと思います。 野球の試合では、ごまかすじゃないですけども『本当はセーフだけど、アウトにできた、しめしめ』みたいなことがよくありました。これまで、そういうのもテクニックの内だ、みたいな考えもあったと思いますが、それはスポーツのあるべき姿とは言えない。そういうことも理解して、選手たちは進化してほしいですね」 千葉商科大付属高校の吉原拓監督は語る。