習近平主席もかばいきれない汚職だったのか…「福建幇」出身で「軍部の習主席代理人」が失脚
中国の中央軍事委員会委員兼政治工作部長である苗華氏が規律違反の疑いで停職となり、取り調べを受けているという発表がありました。習近平主席の福建省人脈である「福建幇」に属するとされる苗氏は、習主席が政権を握ってからスピード昇進を重ね、中国軍関係者を統括する政治工作部主任の座に就きました。事実上軍内での習主席の代理人とも言える人物が失脚したのです。 【写真】床に腹ばいになって上司を出迎える社員たち…異常な企業文化に中国ネットあ然
中国軍では2023年、李尚福前国防相や魏鳳和元国防部長らが汚職の疑いで失脚し、李玉超元ロケット軍司令官をはじめ現職と元のロケット軍幹部9人も次々と粛清されました。1年が過ぎて、今回は習主席の最側近である高官が粛清の危機に追い込まれました。海外のソーシャルメディアでは、福建省出身で苗氏の戦友だった林向陽・東部戦区司令官も関与し、自殺したという説が流れています。 ■相次ぐうわさ受け「停職」を公式発表 中国国防省の呉謙報道官は11月28日の定例会見で、「苗氏に重大な規律違反の疑いがあり、党中央による検討を経て、停職状態で取り調べを行うことを決めた」と発表しました。11月中旬以降、海外のソーシャルメディアでは苗氏が取り調べを受けているといううわさが絶えませんでした。前日の11月27日にフィナンシャルタイムズは「董軍国防相が汚職の疑いで取り調べを受けている」と報じました。 こうした報道やうわさを受け、中国国防省は苗氏に対する取り調べの事実を公式に確認しました。ただ、董国防相が取り調べを受けているとの報道は「完全なねつ造だ」として否定しました。 習主席は1985年から2002年まで中国南部の福建省で勤務しました。苗氏は当時、福建省厦門(アモイ)に駐留していた第31集団軍の政治部主任を務め、習主席と交流があったということです。 ■習主席就任後の「ヘリコプター昇進」 苗氏は習主席が就任する直前の2012年に中将に昇進し、政権発足直後の2014年には海軍政治委員になりました。2015年には上将に昇進し、2017年には中央軍事委軍事委員兼政治工作部主任に抜てきされました。あまりにもスピード昇進だったことから「ヘリコプター昇進」と呼ばれるほどでした。 政治工作部は共産国家特有の軍組織で、軍の人事管理や党組織の建設、思想教育、宣伝活動などを統括します。かつては人民解放軍総政治局だったが、2015年に中央軍事委政治工作部に改組されました。習主席が政権2期目の軍人事を統括するポストに、福建幇出身の最側近である苗氏を据えたのです。