日本郵便執行役員「司法の判断を仰ぐしかない」、ヤマト運輸に120億円の賠償求め提訴
日本郵便は23日、薄型荷物などの配達で協業するヤマト運輸に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。ヤマト運輸が日本郵便に配達委託の見直しを打診したことを巡り、配達委託の履行義務がヤマト運輸側にあることの確認や、委託内容の変更による損害として120億円の支払いを求めた。 【表】ヤマト運輸と日本郵便の協業の経緯
訴状などによると、日本郵便とヤマト運輸は昨年6月、「持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意」を締結した。ヤマト運輸は2025年2月までに、薄型荷物「クロネコゆうパケット」の全ての配達を日本郵便に委託する予定だった。
だがヤマト運輸は今年10月、段階的に委託を進める計画の見直しを申し入れ、11月には、収益確保などを理由に25年1月~26年3月の委託停止を提案したという。
日本郵便はこの申し入れを承諾しておらず、受託に向けた設備投資や見込んでいた利益に対する損害賠償を求めている。計画見直しに向けた協議の条件として、こうした損害の補填(ほてん)を求めたが、ヤマト運輸は昨年6月の基本合意が「暫定的」だったとして、履行義務や賠償責任を否定しているという。
日本郵便の五味儀裕執行役員は「(ヤマト運輸が)履行義務そのものを否定しており、司法の判断を仰ぐしかないと判断した」と話した。一方、ヤマト運輸は「訴状が届いていないのでコメントを差し控える。内容を精査して適切に対応したい」としている。