「ナスとそばの食べ合わせは悪い」といわれる理由 ナスとおすすめの食材は? 栄養士に聞いた
ナスは夏野菜のひとつですが、秋になるとおいしさが増します。昔から「ナスとそばの食べ合わせは悪い」といわれますが、実際はどうなのでしょうか? ナスの栄養や食べ合わせの良し悪しについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。 【動画】ナスが苦手でも食べられる? トロ~ッとした食感が癖になる絶品レシピ ◇ ◇ ◇
ナスは水分が多く、低カロリーだが栄養もある
ナスの水分は全体の約93%と多く、エネルギーも18キロカロリーと低めの野菜です。このため「栄養がない」といったイメージがありますが、栄養がないわけではありません。たとえば、体内の余分な水分や塩分を体外に排出するカリウムをはじめ、腸内環境を整え便通を促し、血糖値やコレステロール値の上昇を抑えることが期待される食物繊維も含んでいます。 とくに皮には、紫色の色素ナスニンに抗酸化作用があり、生活習慣病予防が期待できるでしょう。また、アクの成分でもあるクロロゲン酸にも、同じく抗酸化作用があります。 ナスニンやカリウムは水溶性なので、水に長時間さらすと栄養が流出してしまいます。アク抜きをする際は気をつけましょう。炒め物や揚げ物など変色が気にならない加熱調理や、生で食べない場合はアク抜きをする必要はありません。 秋になると、ナスはやわらかい食感になり、おいしさが増します。昔から「秋ナスは嫁に食わすな」との言い伝えがありますが、これは意地悪ではなく、おいしいからといって水分が多いナスを涼しくなってきた秋に食べると体が冷えてしまうと考え、その気遣いだといわれています。
穀類の中では食物繊維が多く、消化がゆっくりなそば
「ナスとそばの食べ合わせは悪い」と昔からいわれたのも、ナスの水分が多いことに理由があるといえます。そばもまた、ざるそばや盛りそばなど冷たい状態で食べることが多いため「体を冷やす食べ物」とされてきました。そこから、一緒に食べると胃腸が冷えて、消化不良につながると考えられたのでしょう。 しかし、現代の栄養学で考えれば、適量であればそばもナスも一緒に食べて問題ありません。そばには血管を強くするルチンや、エネルギー代謝を促進し疲労回復も期待できるビタミンB群などが多く含まれています。 消化不良の観点からいえば、よく噛んで食べることを心がけてください。そばは穀類の中では食物繊維が多いため、消化がゆっくりです。消化に時間がかかることで、腹持ちが良くなり、血糖値の上昇もゆるやかですが、胃腸に負担がかかるとも考えられます。