「50代男性の40%が肥満」という事実 日本人の“中年太り”増加の理由・深刻な疾患リスクとは
厚生労働省が公表した2022年の国民健康・栄養調査で、成人男性の肥満者が過去10年で増加傾向にあることが分かりました。この内容について中路医師に伺いました。 【イラスト解説】肥満が引き起こす「高血圧」のリスク [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
厚生労働省が公表した内容とは?
編集部: 厚生労働省が公表した内容を教えてください。 中路先生: 国民健康・栄養調査は厚生労働省が継続的に実施しているもので、今回は2910世帯を対象におこなった調査結果を公表しています。 調査によると、20歳以上の男性のうち、BMIが25以上の肥満状態にある人は31.7%に上ったことが明らかになりました。前回の調査がおこなわれたのは2019年で、この時期と比べると1.3ポイント減っているものの、10年前の2012年と比べると2.6ポイント増え、増加傾向にあると言えます。男性の年代別にみると、肥満の人の割合が最も高いのは50代で40.1%、次に60代で33.8%、40代で33.7%という結果でした。なお、20歳以上の女性の肥満の割合は21%で、この10年間で大きな変化はみられませんでした。 また、1日に歩いた平均歩数は、男性が6465歩と10年前と比べて9%減っていました。一方で女性は、5820歩と10年前より7%減っています。さらに、野菜摂取量や喫煙率などは、男女とも10年間で減少傾向がみられました。2022年の喫煙率は男女合わせて14.8%で、性別ごとにみると男性が24.8%、女性が6.2%と過去最低となりました。
調査結果についての受け止めは?
編集部: 厚生労働省が公表した2022年の国民健康・栄養調査の結果への受け止めを教えてください。 中路先生: 20歳以上の男性の肥満、とりわけ40~50代の男性の肥満の割合が特に高くなっています。この年代は多くの人が責任のある地位にあり、時間的余裕もなく「肥満を改善しなければならない」と自覚していても、なかなか行動へ移せないでいると考えられます。そのため、個人の努力だけではなく、国や自治体を含めた社会全体での取り組みが必要です。