日本製鉄、通期事業利益予想を6700億円に下方修正 在庫評価損で
Ritsuko Shimizu [東京 7日 ロイター] - 日本製鉄は7日、2025年3月期(国際会計基準)の連結事業利益予想を7000億円から前年比23.0%減の6700億円に下方修正した。原料価格の下落による在庫評価損の拡大が主因。 森高弘副会長は会見で「事業環境は下期にさらに悪化する。危機的な状況」と述べた。内外の実需や市況低迷によるスプレッド(利ザヤ)の改善が見込めない、厳しい状況にある。中国の景気刺激策の効果が不透明なことから、過剰生産・輸出増加という構図に変化はない。 ただ、日鉄は、損益分岐点を引き上げる施策や原料の自社比率引き上げ、海外事業の強化などが奏功し、特殊要因を除く実力ベースの事業利益は7800億円で据え置いている。上期の事業利益3757億円に対し、下期は2943億円となるが、実力ベースの事業利益は、鋼材出荷の減少をマージンやコストの改善でカバーし、下期が上期を262億円上回る。 通期の純利益予想も3400億円から同43.6%減の3100億円に引き下げた。純利益予想は、IBESがまとめたアナリスト10人の予想の平均値3637億円を下回った。 単独粗鋼生産量は3450万トン程度の見通しを維持した。 24年4―9月期の連結事業利益は前年同期比24.0%減の3757億円で、会社計画の3400億円を超えた。 決算見通しにはUSスチール買収は織り込んでいない。