人の注意力持続時間は8秒…それでも見続けてしまうTikTokの巧妙な仕掛けとは?
コンテンツパートナーシップ部門のトップによると、ほとんどの動画は喜びを15秒から30秒にはじけさせ、短時間でできるだけクリエイティブになるようコンテンツを作成させている。新たなクリエイターへの内部ガイダンスでは、動画は最低でも10秒を超えるように、なるべく11秒から17秒にまとめて投稿するようアドバイスしている。かつてアンディ・ウォーホルが誰でも有名になれると言った15分という時間は、ティックトックの新世界ではまさしく15秒になっている。 ティックトックで1時間に消費できるコンテンツの量について考えてみよう。各動画が最大の60秒で作成されているとしたら60作品を見ることができ、連続で60人の新顔に出会い、彼らの世界の扉を開くことができる――つまり、彼らをフォローし、スーパースターの地位に押し上げるチャンスがそれだけあるということだ。対照的なのがユーチューブだ。 ユーチューブでは、動画をあちこち回ってささっと視聴する人が減り、代わりにソファに座って長編のドキュメンタリーを見る人たちが増えているため、動画の平均的長さはどんどん長くなって、ファンをつくるのがさらに難しくなっている。 ティックトックの動画の長さはスイートスポットにヒットした。人はすぐには退屈しないもので、絶えず新しくて風変わりなコンテンツをつまみ食いしている。これは、すぐさまユーザーの注意をつかみ、内容にひとひねり加えることでドーパミンを放出させて満足感を与え、続けて次の動画を見る気になるよう、クリエイターが設計したものだ。 だからこそ、ティックトックは非常に人気が高いのだ。延々とスクロールし、指先が止まった先に入念に選んだ動画が出てきて自由にフリックできるなら、決して退屈することはないだろう。 ティックトックをここまでに押し上げた第2の要因はそのアルゴリズムだ。それはティックトックだけでなく、バイトダンスの製品すべてを強化し、会社全体のマネーメイカーになっている。実際のところバイトダンスは、画像認識やコンピュータービジョンといったアプリに、そのコンテンツや他のテクノロジーを引き渡すメカニズムを商業的に利用してきた。