『モンハンワイルズ』レビュー。ゲーム開始~緋の森“ウズ・トゥナ”撃退を先行プレイ。新要素の装備スキルで武器選びに超悩む(うれしい悲鳴)
2024年11月、カプコンはメディア向けプレビューツアーを実施。対象タイトルは、2025年2月28日に発売予定のプレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、Steam向けソフト『モンスターハンターワイルズ』。 【記事の画像(28枚)を見る】 今回、ゲームの冒頭から約5時間ほどプレイできる機会を得られたので、その模様をリポートする。まずはプレイ動画を観てほしい。 臨場感抜群なシームレス体験、映画さながらの演出が光るストーリー 今回の試遊では、開発中バージョンをゲームの冒頭からプレイできた。しかし、『モンハンワイルズ』ではストーリー部分に多大な力を入れて制作されていることもあり、ストーリーに関するネタバレはもちろん、大まかな流れ(どういった経緯でほかの地域へ向かったりするのか、とあるモンスターを狩猟することになった理由など)なども公開NGとなっている。 本稿では、クエストやモンスターなど、カテゴリー別に気になった要素をピックアップしながら、ゲームプレイの感触をお伝えしていく。使用したハードはPS5。ボタンの表記もPS5版のもの。 少しだけ、ネタバレなしのストーリー進行に関してアレコレ 試遊では約5時間のプレイができたが、ストーリー進行部分に関しては、いわゆるカットシーンの尺がやや長めに取られていた印象。とは言えだらだらと長く垂れ流されるとわけではなく、そこからシームレスに通常の会話シーンや移動シーン、果てはクエストに移行するパターンなども……。見ていて気持ちよく、スピード感もあった。 とくにシームレス体験は予想していた以上に滑らかで、ごく自然に状況が移り変わっていく。画面右上に表示されている目標(特定の人物と会話するなど)を達成することでストーリーが進行するようになっているのだ。「探索がしたい」、「もう少しクエストを周回したい」という場合でも問題なく自分のペースでゲームが進められる。 肝心のストーリー内容は、5時間程度のプレイではまだまだ序の口もいいところといった感じ。登場人物たちの顔見せや彼らの背景、仲よくなっていく過程などが中心に描かれる。各ベースキャンプや村などでイベントも発生するのだが、かなり驚かされるものもあったので楽しみにしていて欲しい。 おなじみのもの、まったく新しいものいろいろな施設 ベースキャンプなどのハンターの拠点には、じつにさまざまな施設が存在する。その多くはこれまでのシリーズにもあったおなじみのものだが、中には完全に新規で追加されている施設もある。ここでは、それら施設の中で気になったものを感想も交えてピックアップして紹介しよう。 物資補給所 シリーズおなじみの施設。回復薬やボウガンの弾など、消耗品系のアイテムを購入できる。今回の試遊ではゲームの序盤、かつ採集で賄いやすかったというのもあってあまり利用しなかった。しかしゲームが進み、高難度のクエストが出てくると頻繁に利用することになると思われる……というか絶対なる。 加工屋 シリーズおなじみの施設筆頭。素材とお金を持っていけば、ジェマに武器や防具の生産や強化をしてもらえる。『モンスターハンター:ワールド』や『モンスターハンターライズ』とほぼ同じツリー形式で、強化先が解放されていれば、性能や必要素材を確認できる。 防具に関してはデザインが2種類用意されている(性能は同じ)以外はいつも通りといった感じ。ただ1点、武器は各武器固有の“装備スキル”の存在が気になった。これは特定の武器種のみに影響があるスキル(ガード可能な武器のみ使える“ガード性能”や、溜め行動短縮や専用ゲージ蓄積が多くなる“集中”など)が、武器自体に備わっているというもの。 オープンベータテストのときはホープシリーズの近接武器に“砥石使用高速化”が付いていたのを確認できたが、それと同じように大剣には“集中”、ガンランスには“ガード強化”といったスキルが付いている武器があるのだ。対して防具は“精霊の加護”や“回復速度”など、どの武器種でも発動するスキルが備わっている。 おそらく、本作では武器をふたつ持ち出し可能で狩猟中に武器のみ切り替えられるため、こういった仕様になっているのだろう。武器の攻撃力や斬れ味ゲージといった要素以外に、どのスキルが付いているのかも選択基準に加わるため、これまで以上に武器選びに悩まされそうだ。 サークル管理所 『モンスターハンター:ワールド』にもあった要素で、本作内のみのコミュニティ機能であるサークルを扱える。メンバー専用のロビーを作って集まったり、サークルチャット(ログアウト後も書き込みが残る)で交流ができる。ひとつのサークルには最大50人が所属可能であるほか、最大で8つまでのサークルを掛け持ちできるようなので、好みに合わせて活用しよう。 食料配給所 携帯食料を受け取れる施設。クエストをこなすなどで一定数の携帯食料がもらえる。携帯食料は、一定時間体力などのステータスが上昇する食事を作るのに必要なので、定期的に立ち寄ることになるだろう。 簡易キャンプの親方 フィールド内に設営できる、簡易キャンプに関する施設。簡易キャンプの設営や撤去、修復などのほか、編集もできるのがポイント。 いわゆるエディット機能で、テントの色や周囲に小物を置いたりといったことができる。単純に彩りの機能かなと思いきや、オープンベータテストでも最初だけ体験できたトレーニング用のタルも置けるようになっていたのでびっくり。クエスト中、いつでも叩いて武器の使い心地を試せるのはいいかも。 トレーニングエリア 『モンスターハンター:ワールド』や『モンスターハンターライズ』にあったものと同様の施設。自由に武器を使ってのアクション練習ができる。 トレーニング管理窓口のアイルーに頼めば、ネコ式訓練タルパンチャー(という名前のカカシ)の肉質や傷、さらには行動パターンなども細かく設定できる。おもしろかったのはタルパンチャーの攻撃の強さを設定できる点。最高設定にすると恐ろしい威力になり、ほぼワンパンで力尽きるほどになる。ジャスト系アクションの練習も思いのままで、多くのハンターが籠ることになるはずだ。 独自の生態と動きでプレイヤーを翻弄してくるモンスター 当然ながら、試遊ではさまざまな大型モンスターと出会うことができた。今回クエストなどで狩猟対象となったのは、チャタカブラ、ケマトリス、ラバラ・バリナ、ババコンガ、バーラハーラ、ドシャグマ(ボス個体)、ウズ・トゥナ(撃退のみ)の7頭。その中で、オープンベータテスト時には遭遇しなかった4頭についての所感をお伝えしよう。 ケマトリス 朱色のトサカが目立つ、鶏のような見た目をした獣竜種のモンスター。動きは機敏で、炎尾竜の名の通り、とにかく尻尾を使った攻撃が厄介。地面を擦って火花を散らしたりもするため、食らった際は火属性やられに注意しなければならない。 身をひるがえすかのような動きと尻尾の動きが独特で、「来る!」とわかっていても攻撃を食らってしまいがち。ジャストガードを狙い過ぎてピンチになることもあったが、オトモのサポートで事なきを得るといった場面もあった。 ラバラ・バリナ 色鮮やかな体色をした、鋏角種のモンスター。まさしく蜘蛛のようにカサカサと動き回り、触れると麻痺の危険がある綿毛を降らせてくる。本体はハンターの側面や背後へ回り込むような動きをしてくるため、綿毛の位置や周囲の状況と相手の動きを同時に把握しながら立ち回る必要がある。 “綺麗な薔薇には棘がある”という言葉通り、薔薇のように真っ赤に咲いた胴体から不意に出してくる棘攻撃が脅威(薔薇の中心から棘がニュッと飛び出してくるのでかなりビビる)。試遊の途中ではフィールド内に出現したドシャグマとの縄張り争いも確認。ドシャグマの上にのしかかるような攻撃や、麻痺させたりといった行動が見られた。 ババコンガ 桃色の体毛が特徴的な、牙獣種のモンスター。尻尾でフンを投げたり、口から吐き出す、あるいは放屁によって悪臭ガスを撒き散らしたりと、なんとも懐かしい攻撃の数々が確認できてニヤリ。食らうと悪臭状態になり、消臭玉を使って解除しないと回復薬など一部のアイテムが使用不可になるのも相変わらず。 途中で毒テングダケを食べ、毒ブレスをくり出してきた。そのうえで悪臭攻撃も併用してくるため、消臭玉を用意しておかないと一気にピンチに陥ってしまう。毒と悪臭のダブルパンチで、じわじわと体力を減らされて危なかった。しかし手こずるばかりではなく、従来のシリーズ作で狩った感覚を思い出して少しずつ余裕が出てきたころに近付いて観察してみたところ、ピンクの毛のフワフワ感が……すごかった。 ウズ・トゥナ 緋の森での生態系の頂点に位置する海竜種モンスター。しなやかな動きでハンターに迫りつつ、高威力の叩きつけなど強烈な攻撃をくり出してくる。特徴的なのは、水のヴェールのようなものを身にまとう点。いわゆるシールドのような役目を果たしており、ヴェールがあるとダメージ数値が青く表示された。どうやら、武器で斬りつけた際の威力が軽減されてしまうようだ。 ウズ・トゥナが水しぶきが舞わせながら行う攻撃も厄介で、これを食らうと水属性やられになってしまった。初見のときはしっかりした防具を装備していなかった(チャタカブラの装備を作成した程度の適当さだった)こともあり、どの攻撃を受けても恐ろしく痛い。なお、ウズ・トゥナの撃退に向かう際、調査隊の一員であるオリヴィアもサポートハンターとして狩りに参加してくれた。『モンスターハンターライズ:サンブレイク』にもあった演出だが、気分が盛り上がってとてもいい。 慣れるほど、使い込むほどに楽しくなってくる武器アクション 今回の試遊では、筆者はガンランスを中心に使用したので(※)、オープンベータテスト版では触れなかった点についてお伝えしていく。 ※ちなみに、公式YouTube“ファミ通TUBE”の動画では、ファミ通ドットコム編集者・ででおによる双剣と弓でのプレイを収録している。こちらもチェックを。 ガンランスの砲撃タイプはこれまで通り3種類で、通常型、放射型、拡散型を確認。それぞれ以下のような特徴がある。 ・通常型:砲弾の装填数が多く、それに伴ってフルバーストの威力が高い。装填数は6発 ・放射型:竜杭砲の威力が高く、砲撃の射程距離が長い。装填数は3発 ・拡散型:砲撃、竜撃砲の威力が高く、砲撃の攻撃範囲が広い。装填数は2発 本作では移動砲撃→なぎ払いからの各種連携が非常に強力かつ便利なので、やはり装填数は多いほうが立ち回りはしやすい印象。個人的には竜杭砲の威力が高い放射型が、思っていたよりも使い勝手がよく感じた。竜杭フルバーストまで当てるのは間に合わないタイミングでもギリギリ竜杭砲を撃ってダメージを稼げるのがいい感じ。 今回のプレイ範囲では“装填数UP”のスキルも利用できなかったため、拡散型はかなり考えながら立ち回らないとすぐに砲弾が枯渇してしまう。砲撃自体の威力は高めなので、チクチクと安全性を重視した立ち回りにはよさそう。後は大きな隙を狙って竜撃砲をドカンと。 さすがに細かいところまでは試せなかったのと、ガンランスは専用スキルの重要性が高い武器というのもあるので、ゲームが進むことで大きく使用感が変わったり、驚くような連携が生まれる可能性も十分にある。うーん、もっと『モンハン』したい……。 もうひとつ、ボウガンのカスタマイズについても興味深い新要素があったのでお伝えしておきたい。 ライト、ヘビィともに強化パーツによって装填可能な弾の数やレベルを調整できるようになっている。強化パーツはプレイ範囲内ではふたつまで装備できたが、ゲームの進行次第で増える可能性はある。ちなみにライトボウガンは速射弾や特殊弾の装填数も増減でき、ヘビィボウガンは通常モード時の性能上昇や、竜熱ゲージの回復速度を上げたりといったことも。 また、ライトボウガンの特殊弾は2種類、ヘビィボウガンの特殊弾は4種類用意されている。以下に特徴を書き出したので確認して欲しい。 ライトボウガン ・起爆竜弾:攻撃することで爆発する爆弾を設置する。爆弾の弾数は一定時間で回復する。 ・圧着竜弾:装填後にR2ボタンでモンスターに吸着する特別な弾を発射する。弾は一定時間モンスターに吸着し、攻撃を与え続けることで爆発時のダメージを大きくできる。弾数は一定時間で回復する。 ヘビィボウガン ・竜熱機関竜弾:竜熱モード中に使用可能な特殊弾。R2ボタンで射撃し続けることができ、当て続けると威力が上昇。 ・竜熱穿甲弾:竜熱モード中に使用可能な特殊弾。弾はゆっくりと貫通し、ヒット数が多いほど威力が上がる。 ・竜熱相殺弾:竜熱モード中に使用可能な特殊弾。相殺効果のある近距離射撃。△ボタン長押しで発射時の威力が上がる。 ・竜熱擲弾:竜熱モード中に使用可能な特殊弾。発射後、広範囲に拡散する中距離射撃。 さらに、武器自体の性能や装備スキルの存在もあるため、組み合わせ次第でさまざまな状況やモンスターに対応できそうだ。なお、開発陣によれば、ランス、スラッシュアックス、操虫棍、片手剣の4種類には大きく調整が入る予定で、ベータテスト版とはかなり違いが感じられる武器になるとのこと。上記4種類を使っている皆さんは期待していいと思う。詳細はインタビュー記事を参照。 プレイできたのはほんの一部。もっと、もっと狩りをさせて…… あちらこちらと見たり、少しストーリーを進めているだけで、約5時間があっという間に経過して試遊が終了。本作の魅力を知るには時間が足りなさ過ぎる。今回は細かく見て回ることも難しかったため、心残りがかなり多い状態。けっきょくオトモアイルーの装備も新調してあげられなかったし……。 これまでのシリーズに比べ、ストーリー面にとくに力が入っているのは見て取れた。映画的演出も多く、そこからクエストなどのゲーム部分へシームレスに移行するのも見事。だが、いわゆるムービーゲーなのかといえばそうではなく、基本ラインはしっかりと『モンハン』しているので安心してほしい。フィールド探索やクエスト周回などは、序盤からかなり自由にできるため、ストーリー進行そっちのけで狩りに没頭してしまう人もいることだろう。時間が許せば自分もそうしたかった。 何はともあれ、「楽しかった!」のひと言は記しておきたい。狩猟解禁まではもうそろそろと言っていい頃合にまで迫ってきているので、あと少しの辛抱。続報をチェックしつつ楽しみに待とう。