《衆院選2024》茨城県内新区割り 陣営注力 5市分割解消 有権者、戸惑いも
15日公示、27日投開票の衆院選から茨城県内では水戸、笠間、小美玉、常陸大宮、下妻の5市で区割りの分割が解消された。対象となる5選挙区では新たに加わった地域の支持を取り込もうと、各陣営がしのぎを削る。従来の選挙区が変更となった有権者からは戸惑う声も漏れる中、各自治体の選管が浸透へ向けた周知を進めている。 小選挙区定数「10増10減」を反映した改正公選法が2022年12月に施行され、県内では水戸、笠間、小美玉、常陸大宮、下妻の5市で区割りが改定された。水戸市の場合、旧水戸市が1区、旧内原町が2区となるなど市町村合併の名残りで、市内が複数選挙区にまたがる状況にあった。 改定されたのは5選挙区。新たな区割りではほかに、旧友部町(笠間市)、旧岩間町(同)がいずれも1区に加わった。1区だった旧御前山村(常陸大宮市)を4区に、同じ1区の旧下妻市(下妻市)を7区に、6区の旧玉里村(小美玉市)を2区にそれぞれ改定した。3、5区の変更はない。 1区で立候補を予定する陣営は、それぞれ新たに加わった区域での知名度向上に力を注ぐ。前職の陣営は昨年から内原地区で積極的に催しへ参加し、友部地区でも国政報告会を開くなど浸透を図ってきた。公示後の遊説にも多くの日数を割き「内原、岩間、友部は重点地域」(陣営担当者)に位置付ける。 同じ選挙区の別の前職陣営も、新たに加わった地区に時間をかけて足を運び、「知名度は徐々に上がってきている」と一定の手応えを得る。ただ、7区となった旧下妻市地区については「(組織が)しっかりした地盤で、前回も多くの得票があった。失うのは痛い」と嘆く。 下妻市田町で飲食店を営む横山真司さん(52)は「選挙権を得てから30年間、ずっと1区だった。候補者になじみがあり、考え方もある程度分かっていたのだが」と複雑な表情。常連客からは「同じ政党を支持していても外様の感じがする」との声も聞くという。「これから政策や人柄をしっかり見たい」と語り、選挙戦で投票先を見極めるつもりだ。 全域が7区となった下妻市では、市選管がホームページ上で選挙区改定について紹介し、10日付の「広報しもつま・お知らせ版」にも掲載するなど広く周知を進める。投票日の新聞にはチラシを折り込み、案内を徹底する。 笠間市選管も旧友部町の同市役所などに変更を伝えるポスターや掲示板を設置。担当者は「まだ2区だと思っている市民もいる可能性がある。しつこいくらいに周知したい」と語った。
茨城新聞社