杉本彩さん「納得いかない」犬452匹虐待 フレンチブルドッグ、パグを無免許で麻酔なしに帝王切開 元販売業者代表に懲役1年と罰金10万円求刑 被告側「鎮痛剤は使った」”殺傷”は無罪主張
獣医師免許がないのに犬に麻酔をせず帝王切開したなどとして動物愛護法の殺傷や虐待の罪などに問われた元販売業者の裁判が1月15日、長野県松本市の地裁松本支部で開かれ、検察側は懲役1年、罰金10万円を求刑しました。刑事告発した動物愛護団体の杉本彩理事長は求刑に「正直がっかり、納得いかない」などと述べました。
■検察側「極めて残虐で悪質な行為」
起訴状によりますと、安曇野市の会社役員・百瀬耕二被告(62)は獣医師の資格を持たないのに2021年8月、松本市の自宅(当時)でフレンチブルドッグ4匹とパグ1匹を麻酔せずに帝王切開し、みだりに傷つけたなどとされています。
1月15日の論告で検察側は「被告は2つの犬舎で多頭飼育に陥り、犬の管理も行き届かず、飼育ケージはふん尿で溢れかえって劣悪な飼育環境にあった。被告は会社の売上を維持するために犯行に及んでおり極めて悪質な行為と言える」「保健所の立ち入り調査に対して、従業員に犬舎内を清掃するように指示して状況を見繕うなどしていた」などと指摘しました。
また帝王切開についてはー。 (検察側) 「被告は2021年6月の動物愛護法改正で帝王切開は獣医師が行うよう記載されたことを認識しながら、以前、知り合いの獣医師の手術を見て覚えたという不十分な技量で妊娠した犬の四肢をケージに強くしばりつけ、常習的に無麻酔で帝王切開を行っていた」「妊娠犬に極めて強い苦痛やストレスを与えることは明らかで、極めて残虐で悪質な行為と言える」
そして、「被告の刑事責任は重大でブリーダー業を廃業し、一定の社会的制裁を受けたとは言え、大規模な動物虐待事案であることや行為の悪質性、常習性から厳正に処罰すべき」として、懲役1年・罰金10万円を求刑しました。
■被告側「鎮痛剤を使った」
被告は検察官の論告を静かに見守っていました。 これに対し弁護側は、動物愛護法の「虐待の罪」と狂犬病の予防接種を受けさせなかった罪は認めた上で、動物愛護法の「殺傷の罪」については、「帝王切開は犬を助けるために行った正当な行為で、獣医師から教えらえた方法で鎮静・鎮痛効果のあるドミトールを使用しており「みだりに傷つけた」ことにはならないとして無罪を主張しました。