検証名目で判決を批判「明らかな事実誤認」 袴田さん再審無罪検証で最高検と静岡県警
■「捜査体制強化せよ」「再発防止策、不十分」 元検事の高井康行弁護士
最高検の検証結果報告書では、当時の捜査や公判の問題点はもれなく指摘されているが、今後の対策については踏み込みが不十分だ。
報告書の指摘通り、犯行着衣とされた衣類が後に見つかったみそタンクを、初動捜査の段階で徹底的に捜索しなかったことが、公判の長期化を招いた根本的原因だ。検察は警察とも協議し、起訴に責任を持つ検察官が初動段階から警察の捜査に関与する仕組みを検討する必要があると思う。
また、報告書は地検の検察官が日常の事件を処理しながら再審請求に対応していることなどを問題点として指摘した上で、その対策として最高検や高検に再審事件を支援・指導する部署を設けるとしている。しかし、それでは不十分だろう。
最高検に再審事件を専門に扱う部署を作り、その部署が全国の再審請求事件を直接担当するなどの徹底的な体制強化が必要な時期だ。
再審などの長期化防止は検察官の努力だけでは達成できない。検察官、弁護人、裁判官の三者がそれぞれの責任を果たすことが重要だ。