【将棋】“涙止まらない” 「奨励会三段リーグ」を勝ち抜き新たな棋士誕生
高橋三段:恥ずかしながら、対局が終わった直後に涙がこみ上げてきまして、止まらなくなってきました。師匠にも先ほど報告しましたけれども、その時も泣きそうになってしまいました。 ■プロになろうとしたきっかけ、つらかった時に支えられた人やものは 山川三段:自分がプロになろうと思ったのは、明確にこれとは覚えていないんですけど、将棋がとにかく楽しかったので、強くなるにつれて上を目指していった結果、プロになりたいと思った気がします。 自分は2級時代がすごく長かったんですけれども、その時期に後輩とかにもどんどん抜かされて、その時期につらかったですし、初段に上がってから1回、1級に降級したこともあるので、そういうところもつらかったですね。三段リーグは長いこと…三段リーグはやはりつらかったですね。 それで家族は、特に母親は自身のことを二の次にしてでも自分が快適に将棋ができるような環境作りをしていただいたので、そのあたりは力になりましたし、将棋の方ですと、本田奎六段や斎藤明日斗五段とか同年代の活躍を見て、刺激を得ていました。 高橋三段:自分は棋士を志したのは、父に奨励会というものがあるようだと教えてもらって、自分も子どもだったので、成り行きで入りました。 自分も12年奨励会にいましたけれども、同門の岡部怜央四段が奨励会入会同期で、同じ門下で、同い年ということで、彼と切磋琢磨してきて。切磋琢磨といっても岡部さんの方が昇段のペースは早いんですけど、三段リーグでつらい時も岡部さんに声かけていただいて、たくさん将棋も教えていただいて、今の自分があるのかなと。岡部さんと同門で同期になれたことが本当に運がよかったなと。ターニングポイントかなと思いました。 ■山川三段は前期と今期の三段リーグ、非常に好調 何かきっかけが 山川三段:大きかったのは永瀬拓矢九段の研究会に呼んでいただいて、何か言葉で語るという方ではないんですけれども、その背中を見ているうちに、より真摯に将棋に取り組んで、少しでも研究会をしてよかったと思われたいという気持ちも出てきて、それが大きい要因であったかもしれないですね。 ■いつごろから研究会に 山川三段:去年の元旦ですね。自分は代打だったんですけれども、そこからしばらくして、固定の研究会とか代打で呼んでいただけるようになって、というのが経緯。本当に研究会中は将棋に打ち込むという空気感がありますし、どういう時でも絶対に研究会をやるというふうに永瀬九段は感じていたので、あれだけのトップ棋士もこれだけ努力しているので、自分ももっとがんばらないといけないということが、力になりました。 ■高橋三段の今期好調のきっかけは 高橋三段:佐々木勇気八段や岡部四段、斎藤明日斗五段など、たくさんの棋士の先生に研究会が終わった後、夜に居残り練に付き合っていただきまして、早指しでとにかく局数をこなしまして、その甲斐あってか前期の最後ら辺から手がどんどん伸びるようになって、それが好調の要因かなと思います。三段になったころから棋士の先生に研究会に誘われることが多くなって、棋士の先生方の将棋に対する情熱だったり向き合い方を見て、自分も成長できたのかなと思います。 ■趣味は山川三段が「食べること」、高橋三段が「散歩」 山川三段:好きな食べ物はマーボー豆腐が好きでして、自分でも作ってみたり、ラー油から作ってみたりというのも一時期していました。他にも和菓子、洋菓子、お寿司も好きですし、焼き肉も好きですし、正直何が好きかは絞りきれない。 高橋三段:散歩は、普段将棋を指して、家に帰って研究しての往復ですので、その間にできる趣味は歩くことで、非常に気分転換になりますし、最寄り駅から何駅から遠く降りて歩くと、知らない町を歩いて気分転換になりますし、まだ行ったことのないところに行ってみたいと思います。 ■自身の将棋のスタイルについて 山川三段:自分では終盤型の将棋と自負しているのですが、もしかしたら、まわりの方が感じている印象は違うかもしれません。最近は序盤の研究にも力を入れているので、そのあたりも注目していただけたら。自分は基本は居飛車党なんですけれども、せっかく棋士になりましたし、良いと感じましたら振り飛車も指したいなと思っていますし、せっかく棋士になりましたので、いろいろな形を指して、認識を深めていけたらと思っています。 高橋三段:自分の棋風、正直あまり序盤型、終盤型というところはわからないんですけど、棋士の先生方についていくために序盤の研究をしていかないといけないという思いから、序盤の研究に力を入れていて、今後は中盤の捻り合いでしたり、最終盤の寄せ合いでも力を発揮できるようにしていきたいと思っている。 ■どんな棋士になりたいか目標を 山川三段:棋士になったからには、少し上の舞台で活躍できるようにならないといけないと思いますし、自分の場合、師匠が広瀬九段ということで上の舞台で待っているので、自分もその舞台に上がって、師弟対決を実現できるように研さんを積んでいければいいなと思っています。もちろん普及にも取り組んで、将棋をいろんな方に知っていただければと思っています。 高橋三段:何か一つでも、大きな結果が残すことができればうれしいかなというふうに思います。 ■今、将棋界は藤井聡太八冠が席巻している中のプロデビュー すぐに対局はないと思うが、藤井八冠の将棋についてどう思うか、将来的な希望はあるのか 山川三段:藤井八冠の将棋はとても完成度が高いし、本当に序盤・中盤・終盤、すきがない将棋で、理想の将棋の形だなといつも見て思っています。ただ同じ土俵に上がるわけですので、憧れは捨てて、少しでも藤井八冠とあたれる舞台に近づけるようにがんばっていかなければいけないと思っています。 高橋三段:藤井八冠といつか対戦して、今はまだ実力が足りないですけど、もっと強くなって藤井八冠と戦える場所まで早く行きたいなと思っています。