【将棋】“涙止まらない” 「奨励会三段リーグ」を勝ち抜き新たな棋士誕生
山川三段:最終日を迎える前には、「これが最後の壁である。ここを乗り切れないようでは棋士になっても、この先厳しいから。プレッシャーはあるだろうけど」みたいな言葉をいただいて。先ほど、昇段の報告をした際には、「おめでとう」と、電話口ですが師匠も笑顔だったのかなという印象でした。 ■高橋三段は師匠・加瀬純一七段や同門の棋士からどのような言葉をもらったか 報告は 高橋三段:自分は師匠の加瀬純一七段をはじめ、兄弟子の先生方、たくさんいるんですけれども、自分に気を使ってか、「がんばってね」くらいで、自分は逆にプレッシャーを感じずにきょうは指すことができたので、そういった意味ではいい精神状態にしていただいたなと思います。先ほど、師匠の加瀬七段に電話したところ、おめでとうと言っていただきました。 ■尊敬する棋士、目指す棋士は 山川三段:幼いころから羽生善治九段の将棋を見て育ってきたので、やはり尊敬する棋士、目指す棋士と言われると羽生九段になると思います。 高橋三段:特にこの1年間、将棋の練習などでお世話になった佐々木勇気八段と公式戦などでも対局できるようになればいいなと思っています。 ■前節の三段リーグの対局は2人とも黒星、山川三段は連敗している どのような思いで過ごし、きょうを迎えたのか 山川三段:前回は大阪遠征(関西将棋会館)での対局だったんですけど、連敗して帰りの新幹線もどうやって乗ったかも覚えていないくらいで、世界が白黒に見えるくらいの絶望感を持っていたんですが、他の結果を見て、まだ自力(でのプロ入り)があるということで、どうにか気持ちを立て直して、結局将棋をやるしかないなという思いで、日々を過ごしていました。前節では事前の準備をしすぎたところがあって、精神的に余裕がない状態だったのかなというふうに、ふり返って思ったので、きょうを迎えるにあたって、おとといくらいからあまり将棋の勉強をせずに、自分の心と体のメンテナンスということだけを考えて迎えるようにしました。 高橋三段:私は(前節で)2局目に負けて、1局目の時点で、競争相手の方が敗れているのを見ないようにしたんですけど、わかってはいたので、チャンスだなと思いながらも負けてしまって、自分も帰りのことは覚えていないんですけど、自力圏内に残れているということで、残りの2週間はいろんな棋士の先生方に最後の追い込みということで、たくさん練習将棋ということで教えていただいて、何もしない時間というのを作ると緊張で生活するのが厳しいので、とにかく予定を詰め入れて、あまり緊張する時間もないようにきょうを迎えました。 ■山川三段は出身は仙台だが、東京に引っ越して小学生名人となっている、住まいの変遷を教えてほしい また、小学生名人となって奨励会に入ったころ描いていた自分からどのような思いできたか 山川三段:宮城県出身だったが、住んでいたのは小学校1年生までで、その後は愛知に(父親が)転勤して東京に転勤してということがあって、小学生名人をとった時は東京代表ということでした。小学生名人をしたり、(奨励会で)18連勝したりと、それだけ聞くともっと早く昇段していなければいけないなという経歴だと自分でも思うんですが、ただ奨励会生活が長くなるにつれて、最低限棋士になることが、この経歴を持っている自分の義務かなということで、そこは少し意識はしていました。 ■高橋三段は対局が終わり、廊下ですれ違った時に、目をぬぐうような姿を見たが、あれは誰かにご報告してどのような感情だったか