金融庁が乗り合い保険代理店の取り締まりを強化、ネクステージと「マネードクター」の検査も着手
なお、12月18日に提出された大量保有報告書で、SOMPOアセットマネジメントの保有株数は同13日時点で0になっている。 他方で、金融庁が立ち入り検査をしているFPパートナーの課題とは何か。顧客を軽視した自社都合の保険販売という疑義に加えて、ここでも見え隠れするのが、役員人事の問題だ。 ■前・財務省中国財務局長を執行役員として招聘 FPパートナーの社員によると、同社は11月に前・財務省中国財務局長の錦織功政氏を執行役員業務品質部長として招いている。
錦織氏は1993年に旧大蔵省(現財務省)に入省。金融庁や復興庁などを経て2022年に中国財務局長に就いている。2023年12月に退職し、細田博之前衆院議長の死去に伴う衆議院島根1区補欠選挙に自民党公認で立候補したが、落選。2024年10月の衆院選には出馬しなかった。 「(錦織氏は)役人時代に保険業界を担当した経験はなく、もっぱら金融庁との折衝役として招かれたと聞いている。ついこの間も金融庁の幹部に挨拶をしに行っていたようだ」(FPパートナー社員)という。
そうしてFPパートナーがガードを固める一方で、金融庁は立ち入り検査と並行する形で、生命保険会社に対して便宜供与などの実態調査に着手している。 対象はFPパートナーに商品を供給している東京海上日動あんしん生命保険、SOMPOひまわり生命保険、アフラック生命保険、なないろ生命保険、メディケア生命保険、はなさく生命保険、FWD生命保険、アクサ生命保険の8社だ。 調査票の質問項目は大きく3つに分かれている。
1つ目はマネードクターの店頭に掲示しているサイネージへの広告出稿の意図、2つ目は自社の商品がFPパートナーの販売成績評価で倍率が上乗せされていたことや、それが顧客の最適な商品選択を阻害していた可能性があることの認識について、3つ目は見込み客の情報提供(リーズ)や採用支援の狙いなどで、各社によって内容は若干異なっているようだ。 生保各社に対する同様の調査は7月にも実施しているが、「今回は知らぬ存ぜぬを押し通したり、誤魔化したりするような回答は通用しない」(生保役員)との声が漏れる。
なぜなら、今回はFPパートナーへの立ち入り検査によって、生保各社とのメールのやり取りや関係資料を徹底的に調べ上げられるからだ。 今後、金融庁の検査が進むにつれて、FPパートナーはもとより、手厚い便宜供与ですり寄ってきた生保の脇の甘さが次第に露呈することになりそうだ。
中村 正毅 :東洋経済 記者