金融庁が乗り合い保険代理店の取り締まりを強化、ネクステージと「マネードクター」の検査も着手
そもそも、旧ビッグモーターによる保険金不正請求問題の発生以降、中古車販売業者に向けられる視線は厳しくなっている。不正契約に関する報道も重なったことで、保険業界の関係者の間ではネクステージに対して金融庁が立ち入り検査に踏み切ることは、もはや時間の問題とみられていた。 にもかかわらず、なぜこの時期に株を買い増す判断をしたのか。 親会社のSOMPOホールディングスは「株を買い増したのは子会社の投資顧問会社だ。取引している運用会社からファンドに組み入れる銘柄として指示を受けて、純投資目的で機械的に購入しただけ」と説明する。
要するに、自分たちの意思で買い増したわけではないと言いたいわけだ。 ■株を買い増して3日後、株価は一時13%安 ただ悲惨なことに、株を買い増してから3営業日後の12月4日、ネクステージへの立ち入り検査が報道されたことで、同社の株価は一時前日比で13%安の水準まで売り込まれており、その後も株価は低迷している。 さらに言えば、この時期に中古車販売会社の株を買い増すことは無用な疑念を招く行為だ。 損保ジャパンをはじめ大手損保各社は、保険金不正請求問題や企業・団体向け保険におけるカルテル問題を受けて、その構造的な要因となった取引企業の政策保有株をゼロにすると宣言している。
その際、保有株を売却せずに保有目的を政策保有から純投資に切り替えるだけで、表向きは政策保有株ゼロと言えてしまうというのが、制度の実情だ。「保有株ウオッシュ」とも呼ばれ、金融庁が抜け穴として利用していないか監視を強めている真っ最中だ。 その状況下で、SOMPOグループが子会社などを活用して、保有株ウオッシュをしようとしているのではないかという疑いを、自ら招いてしまっているわけだ。 投資運用は、グループの損害保険取引とは完全に独立させて運営しているのであろうが、今後も子会社の稚拙な投資行為を親会社として見過ごし続けることの代償は決して小さくない。