東北の「地味な絶景路線」、北上線沿線に何がある? 起点の北上駅は新しいホテルやマンション続々
北上駅の東口には2023年11月、大浴場やレストランを備えた「さくらPORT・HOTEL」がグランドオープン。1階には北上観光コンベンション協会が入り、観光案内やレンタサイクルの貸し出しをしている。ホテルに先立って賃貸マンションやオフィス棟、立体駐車場も誕生した。 一方の西口では相鉄グループが2026年秋に「相鉄フレッサイン」ブランドのホテル開業を予定する。相鉄ホテル開発の担当者は「北上エリアは東北新幹線や東北自動車道により交通の利便性が高く、駅周辺には製造業を中心とした複数の工業団地が集積しているため、ビジネス出張の需要が安定的に見込める。また、本用地は北上駅西口至近に位置しており、徒歩でのアクセスも非常によいため、出店を決定した」と説明する。
相鉄グループは2022年12月に九州の熊本市で「相鉄グランドフレッサ 熊本」を開業している。熊本は郊外に自動車関連や半導体企業が所在しており、北上市も「ビジネス需要が見込めるエリア」(相鉄ホテル開発の担当者)という共通点があるという。北上に出店するホテルは地上14階建てで、客室数は167を予定。東北地方では仙台に続いて2店舗目となる。 ■北上線も厳しい状況 JR東日本の発表資料によると、北上―横手間の2023年度の平均通過人員は1日当たり266人。北上―ほっとゆだ間が388人、ほっとゆだ―横手間が101人となっている。
また、同社が10月29日に公表した平均通過人員が1日当たり2000人未満の線区ごとの収支データによれば、北上―ほっとゆだ間の営業係数(100円の運輸収入を得るためにかかった営業費用)は2738円、ほっとゆだ―横手間は3986円と厳しい状況が続く。 北上線は本数も両数も少ないのが難点だが、沿線には東京駅からも1回の乗り換えで行くことができる。ニューヨーク・タイムズの特集記事で取り上げられた県庁所在地の盛岡市ほど外国人観光客が多く訪れているわけでもない。全線開通100周年を機に改めて注目してみるのもよさそうだ。
橋村 季真 :東洋経済 記者