東北の「地味な絶景路線」、北上線沿線に何がある? 起点の北上駅は新しいホテルやマンション続々
■観光列車が沿線盛り上げ 普段の土曜日なら全線を通して走る列車は北上発横手行きが7便、横手発北上行きが6便。その北上線に10月26日、臨時列車の快速「ひなび 錦秋湖」が2往復走った。ひなび(陽旅)は2023年12月にデビューした観光列車だ。 ハイブリッド気動車HB-E300系「リゾートあすなろ」を改造した2両編成で、1号車はボックスシート中心のグリーン車指定席、2号車は普通車指定席。土休日を中心に盛岡―釜石間や八戸―大湊間などで運行している。北上線を走るのは今回が初だった。
運行当日、ほっとゆだの駅前では地元の飲食店が出店したり、郷土芸能を披露したりする「にぎわいフェスタ」が開催されており、地元の人たちが沿線で旗を振るなどして臨時列車を歓迎した。 北上線の起点となる北上駅は、東側に北上川が悠然と流れ、河畔は桜の名所の「展勝地」となっていて、昭和30年代の歌声喫茶で流行した『北上夜曲』の歌碑が建つ。駅の西側には歓楽街の青柳町。市役所本庁舎や「さくら野百貨店」が入る「ツインモールプラザ北上」はその奥にある。
北上駅は1890年、東北本線を建設した日本鉄道の黒沢尻駅として開業した。合併前の旧北上市が発足した1954年に北上駅に改称。1982年には東北新幹線が開業した。現在は日中、1時間に上下1本ずつの「やまびこ」が停車する。新幹線のホームがある東口と在来線のホームがある西口は地下通路でつながる。0番線が北上線のホームだ。 ■北上駅前にホテルが新規開業 最近、駅周辺でホテルやマンションの開発が進んでいる。半導体や自動車の関連企業の集積による宿泊・住宅需要が見込まれるという。北上工業団地にはキオクシア岩手、南に隣接する金ケ崎町にはトヨタ自動車東日本というように市の内外に生産拠点が集まっている。奥州市では2025年秋、東京エレクトロンの製造子会社が生産・物流センターの竣工を予定する。