習近平氏が公明山口代表に会わないのは「重視していない」というメッセージ
下の人たちの意見や情勢分析が習近平氏に上がっていない
飯田)王毅氏にしても、科学的には負け戦なのがわかっていながら、ここまで拘るのはなぜでしょうか? どこかで「シレッ」と取り下げるのではないかという指摘もありましたが。 峯村)私と付き合いのある研究者の方も、「これは終わるよ」などと言っていたのですが、日中首脳会談の同行筋の話によると、処理水の場面になったら、それまでは原稿を読んでいた習近平氏が原稿を置き、「これは絶対に許さない」と自分の言葉で強く批判を始めたらしいです。 飯田)岸田さんに対して。 峯村)彼らは「汚染水」と呼んでいますが、「こんな汚染水は許さない」というようなことを強く言ったらしいのです。そう考えると、おそらくトップのマターなのでしょう。下にいる立場としては解決の出口がない。しかも、中国以外に処理水を批判している国はほとんどないわけですから。 飯田)あとはロシアと北朝鮮ぐらいです。 峯村)事務方としては「これは難しい」と思っていたけれど、「トップはそう思っていなかった」ということが、今回の会談で露呈したわけです。そう考えると、いまの習近平体制において「下の人たちの意見、さらに情勢分析が習近平氏に上がっていない」ということが見えます。今回の首脳会談では、それが最も重要なポイントだったと思います。 飯田)なるほど。 峯村)事務方は処理水について「そろそろ折れようか」と思っていたのに、習近平氏の会談の原稿を書いた。ところが、それを見た原稿に納得がいかずに、「もっと強く言わなければ」と。だから、トップが強硬姿勢の継続の方針を打ち出したのですから、この問題はおそらく解決できないでしょう。 飯田)トップがそこまで言えば変節できないですものね。 峯村)できません。今後また、中国側がいろいろな報復をしてくる可能性もあります。