今井絵理子、生稲晃子だけじゃない! 世襲議員も多数で非難の嵐…第2次石破内閣“トンデモ人事”の裏事情
答弁がしどろもどろの生稲議員
さらに今井氏に負けず劣らず厳しい批判を受けているのが、外務大臣政務官に抜擢された、生稲晃子参院議員だ。 今井氏のようなSNSでのアピールはなかったものの、政務官への起用について「特に力を入れていきたいことは?」と報道陣から問われた際のしどろもどろなやり取りが広く拡散され、「国民をバカにしている」などと世論への反発を招く事態となっている。 「当選した当初から、演説や答弁の不安定さが指摘されてきた生稲さんですが、政務官就任後の受け答えを見ると成長の跡はあまり感じられないというのが正直なところです。 ただ、生稲さんに対する批判的な声が多いのは、出馬時の後ろ盾となった萩生田光一元政調会長の存在も大きい。2022年の出馬に前後して旧統一教会の問題が発覚。萩生田さんに連れられる形で、教団側の集会に参加したことも明らかになりました。 萩生田さんは裏金問題でも渦中の人となり、関係が深い生稲さんにも飛び火した。議員として独り立ちできるまではシビアな評価がつきまとうかもしれません。 そういう意味で今回の政務官起用は、結果を残し評価を覆すチャンスとも言えます」(同前) 生稲氏の場合は、登用のタイミングも批判の種になった側面もあるようだ。 大臣、副大臣、政務官の「政務三役」ポストは、慣例的な「適齢期」があるとされている。キャリアの「登竜門」である政務官は、衆院当選1回、参院2回が就くのが通例だ。参院では当選1回での起用もままあるが、生稲氏もこのケースに当たる。 党内での「時期尚早」との意見に加え、人事で追い抜かれた同期議員からのやっかみや嫉妬が生稲氏への風当たりをより厳しくしているようだ。
批判殺到の人事の裏に人材難
ちなみに政務官の上の副大臣ポストは、衆院当選4回、参院2回が適齢期とされる。そこからさらに大臣に駆け上がるためには衆院当選6回、参院5回を重ねるのが「永田町の常道」とされている。 今井、生稲両氏に加え、登用が疑問視される議員もいる。岸信千世氏のデジタル大臣政務官への起用も評判が悪い。 岸信夫元防衛大臣の息子で安倍晋三元首相の甥という政治家一族のサラブレッドですが、世襲議員に対する有権者の反発をもろに受けている印象です。彼の場合は、演説の不安定さが際立っており、直近の衆院選でも野党候補の猛烈な追い上げを食らってギリギリの戦いを強いられたほど。 同じ世襲議員では金子原二郎元農水相を父に持つ、金子容三衆院議員が防衛大臣政務官に、武部勤元幹事長の息子の武部新衆院議員が文科副大臣に就いています。 いい意味でも悪い意味でも、その一挙手一投足が目立つ岸氏をはじめとする世襲組には厳しい視線が向けられ続けるでしょう」(同前) 政務官ではほかに、ウイグル族の父とウズベク人の母の間に生まれ日本に帰化した異色の経歴を持つ英利アルフィヤ衆院議員が外務大臣政務官に就いた。 日銀の行員を経て国連職員に転じた国際性が評価されたとみられるが、ネット上ではこの人事に異論を唱える者が少なくない。 「ワクチン対応を巡って一部のネットユーザーと論争になることが多い河野太郎前デジタル担当相と近い関係にあることがアルフィヤ氏への反発を招いている面もあります。 河野氏は、アルフィヤ氏が自身の母校であるジョージタウン大学の出身だということもあり、積極的に選挙応援に駆けつけるなど特に目をかけている。 ただ、河野氏は反ワクチン勢のみならず、対中政策のスタンスでネット右翼界隈とも対立することが多い。アルフィヤ氏もそのあおりを受けて言動が炎上しがちです」(同前) 総裁選での勝利を受けて10月から新政権を発足させた石破首相は、衆院解散前の第1次内閣では閣僚人事には手を付けた一方、副大臣・政務官については前任の岸田政権からメンバーを引き継ぎ、独自色を出すのは封印した。 今回の人事で「石破カラー」を本格的に押し出した格好だが、世間の反応を見ると新政権の船出は順風とは言いがたい。なぜ、こんな顔ぶれになったのか。 ある自民党議員のベテラン秘書は、「一言で言うと、人材難。石破首相は今回の人事で『裏金議員』の排除を打ち出し、旧安倍派の多くが選から漏れた。加えて衆院選では与党過半数割れという結果となり、副大臣・政務官候補になり得る中堅議員の多くを失った。少ない手駒の中で見繕ったのがあのメンツというわけさ」とため息をつく。 枯れ木も山の賑わい……といったところか。いずれにしても、円安・物価高への対応や、米国でのトランプ政権の誕生と内憂外患の「石破丸」を下支えするには、なんとも心許ない布陣であることは間違いなさそうだ。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班