「“祝祭”としての選挙でも陰りが…」 「2025年問題」を前に創価学会、公明党はどこへ向かうのか 最強の「政治宗教」に見える限界
「2025年問題」と「2040年問題」を前に
今年は、団塊の世代が後期高齢者に入ることに伴い、社会保障に関わるさまざまな課題が生じる「2025年問題」の年である。さらにその先には「団塊ジュニア」世代が前期高齢者となる「2040年問題」が迫り、人口減少と気候変動を所与の条件として、どの世代もウェルビーイング(幸せ)をそれなりに享受できるように工夫する社会作りが求められている。このような背景の中、さすがに創価学会も、現世代だけがサバイバルできれば、後の世代はどうなっても構わないといったことにはならないだろう。 政治宗教として教団充実の成果を求める時代が池田名誉会長の時代だった。そうした創価学会=公明党のポテンシャルを評価して政権パートナーとした安倍晋三元首相の時代も終わった。自民も創価学会=公明党も盤石の支援者を、地方や宗教で世代を超えて確保してきたから強かったのだが、既得権益の確保だけではこの先まずい。この際、勝利の方程式としていた「政治宗教」の時代を総括するのも必要ではなかろうか。選挙で勝利すること、人生で成功することにこだわり続けるのは昭和・平成の時代感覚である。このままでは令和に自民党と運命をともにすることになるだろう。
櫻井義秀(さくらい・よしひで) 1961(昭和36)年山形県生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。文学博士。北海道大学大学院文学研究科教授。専攻は宗教社会学、タイ地域研究。著書に『「カルト」を問い直す』『カルトとスピリチュアリティ』『創価学会 政治宗教の成功と隘路』『宗教と政治の戦後史 統一教会・日本会議・創価学会の研究』など。 デイリー新潮編集部
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