このビルは言うなれば“キラー・エレベーター”ですよ【みうらじゅんの映画チラシ放談】『エレベーター・ゲーム』『ホビッツベイ』
みうらじゅんさんの前に近々公開される映画のチラシを大量にお持ちして、グッとくるチラシを厳正にピックアップ。映画本編は観ていないので事前知識はほぼゼロ、頼りになるのはチラシ内の情報(と妄想)だけという状態で語っていただく、言いっぱなしの映画チラシ放談です。(ぴあアプリ「みうらじゅんの映画チラシ放談」より転載) 【全ての画像】『エレベーター・ゲーム』『ホビッツベイ』
『エレベーター・ゲーム』
――今回の1枚目のチラシは、都市伝説を基にしたというホラー映画『エレベーター・ゲーム』です。 みうら チラシの絵面は違うんですけど、『フォール』という高い塔の上に女の人たちが取り残される映画があったじゃないですか。あの感じをちょっと思い出したんですね。このエレベーターがあるビルもすごい高層建築なんでしょ? ――でも「5」って書いてあるんで5階じゃないんですか? みうら ありゃ、5階ですか(笑)。いやいや、まだ5階だとも言えますよ。1回ドアが開いたんで、降りようとしたら閉まっちゃって、もう何階なのか分かんないとこまで連れていかれるゲームだと思うんですよ。 ひょっとして最上階も突き抜けて、天界まで行ってしまうかもしれません。1階1階にブルース・リーの『死亡遊戯』的なマスターがいるのかも? でも、アクション映画ではないか(笑)。 分かりました。このチラシに「都市伝説」って書いてあるんで、おそらくニューヨークかどこかにそんなビルができたんですよ。一度乗ったらどこの階で下ろされるか分からない、アミューズメント施設みたいなのを作ったやつがいて、止まった階ごとにゲーム的なことがあって、ハッピーになるか最悪になるかみたいな。 で、ホラー映画だから、出てくるのは当然、無軌道な若者ですね。そいつらが「話題のエレベーター・ゲームって知ってる?」って話になって、何人かで行ってみようよって。ルーレット方式で、どの階でドアが開くか分からない。中には大儲けできる階があったり、すごく楽しい階もあるんだけど、ロシアンルーレットみたいに止まった階には必ず降りないといけないんで、めっちゃ怖い階に降りた者は痛いメに遭う映画。そんなカンジに思いますね。 ――なるほど(笑)。 みうら 実はね、このビル、生命体なんですよ。ちょうどエレベーターが口に当たる部分でね。言うなればキラー・エレベーターですよ。 ――エレベーターに襲われる映画、昔、観たことある気がします。 みうら その続編と考えてみてください(笑)。人間が思ってるエレベーターの概念とは全く違うんですよ、生命体ですからね。でも無軌道な若者たちは「ラ・ブーム」明けなんですよ。かなり調子に乗ってますから。 ――『ラ・ブーム』ってソフィー・マルソーの映画ですよね。 みうら そうです。卒業後のパーティーみたいなやつですよね。みんながダンスしたりする。 このチラシに写ってるチアガールっぽい子は最後の方まで生き残るんでしょうけど、付き合っている彼氏は真っ先に殺られます。それがホラーの掟ですからね(笑)。