フットサル大会、移動レストランで打倒軍政 在日ミャンマー人、収益寄付で民主派支援
2021年2月に軍事クーデターが起き、、民主派と国軍の内戦状態が続くミャンマー。国際社会の関心が薄れる中、在日ミャンマー人らはスポーツ大会や文化活動を通じ結束を強めている。日本で情勢を理解してもらおうと、小規模ながら定期的にイベントを開くグループも。収益を民主派に寄付し地道な支援を続ける。(共同通信=上松亮介) ▽亡命サッカー選手も参加 2024年7月中旬、川崎市で在日ミャンマー人のフットサル大会が開かれ、千人近くが集まった。サッカーはミャンマーで国民的な人気がある。東京をはじめ、栃木、群馬、静岡、愛知、大阪、兵庫、香川、広島、福岡の計48チームが参加した。 会場には、サッカーの元ミャンマー代表で、来日中にクーデターに抗議した後、日本に亡命したピエリヤンアウンさん(28)の姿も。技能実習生や留学生、会社員など身分や性別を問わず、猛暑の下でボールを追いかけた。 フットサル大会は、ミャンマーの民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」の日本代表部が主催した。参加費やスポンサー料から得た収益の全てを、激しい戦闘が続くミャンマー中部での医療活動などに寄付する。
女子部門の試合でゴールを決めた東京都在住の30代の会社員モエさん(仮名)は「厳しい状況が続く祖国のため、個人で何かすることは難しい。皆でサッカーを楽しみながら大きな支援にしたい」と話した。 ▽草の根で地道に 在日ミャンマー人らは現地への支援を募るため、イベントを次々と企画。2024年6月に都内で民主派指導者アウンサンスーチー氏(79)の誕生日にちなんだ集会を開催。6~7月にはオーストラリアに亡命中のミャンマー人著名歌手を招いて東京や福岡でコンサートを開いた。 ミャンマー情勢に興味を持ってもらおうと、草の根レベルで続く活動もある。在日ミャンマー人らで運営する任意団体「Connect(コネクト)」(東京都練馬区)は毎月1度、移動レストランを続けてきた。 2024年7月末、東京・新大久保の教会で開いたレストランには約80人の客が訪れ、インド系ミャンマー人女性らが作る郷土料理に舌鼓を打った。調理担当者が毎月変わることで、多民族国家ならではの食の多様性を楽しめるのが魅力だ。
コネクトは2021年のクーデターを機に、民主派を支援するため2021年9月に発足。毎月10万~15万円の収益を寄付に充ててきた。代表のユウさん(40)=仮名=は「ミャンマーの友人ができたり、料理を食べたりすることで、少しでも現地に興味を持つきっかけになれば」と期待した。