折りたたみ携帯の時代に「YouTubeやった方がいい」と言った天才・飯島愛がロケバスでヒデちゃんにだけ見せた姿とは
飯島愛という天才
『ウチくる!?』は、ゲストが故郷を訪れるほっこりしたロケ部分と、トークで本音に迫る攻めた部分とが共存していました。この“攻め”を担ってくれたのが、初代MCの愛ちゃん、2008年に亡くなった飯島愛さんです。 愛ちゃんは、スキャンダルが報じられたゲストに、「まだ付き合ってんの?」と聞いてタジタジにさせたり、大御所の“長い話”に現場のみんなが飽き始めた時、突然鼻歌を歌ったりしたことも。 みんなが何となく感じている、言いづらい、聞きづらいことを、いち早く察知して言葉や行動で表現する。しかも、それが嫌味にならないどころか、言われた方も笑ってしまう。これは“毒舌”や“辛口”と言われるタレントに共通する才能ですが、愛ちゃんは、それが天下一品でした。 愛ちゃんと初めて会ったのは1993年、テレビ東京の伝説の深夜番組『ギルガメッシュNIGHT』にゲスト出演した時でした。 愛ちゃんは、当時イケイケ女子の象徴的存在でしたが、朝、収録スタジオの廊下で初めて見た彼女は、小柄で童顔で、とても素朴な女の子。「え? この子が、あの飯島愛?」と驚いたものの、メイクをして、ヒールを履いてスタジオに入ると、セクシーで攻撃的な飯島愛に完璧に“変身”している。そのギャップとプロ意識に、さらに驚かされました。 その後、他の番組で何度か共演し、すごく相性が良いと感じていたので、『ウチくる!?』立ち上げの時、「ぜひ一緒に」とオファーさせてもらいました。愛ちゃんも意気に感じてくれ、明るく、全力で番組を盛り上げてくれました。 一方、普段の彼女は、凄く落ち込みやすい人でもあり……。 あれは、番組初期、新潟ロケから帰るバスの中でした。 「勉強もしていない私が、司会でいいのかな?」「全然喋れてないし……」「私って役に立ってるのかな?」と、愛ちゃんから、不安の言葉が溢れ出てきました。僕は、偉そうになるのが嫌で他人にアドバイスをするのが苦手なのですが、この時ばかりは、言葉を尽くしました。 「愛ちゃんの“一言の破壊力”には誰も勝てない」「俺は飯島愛にはなれない。この番組は、愛ちゃんじゃなきゃダメなんです」「進行は俺がやるから、愛ちゃんは上手くやろうとか、流れとか考えなくていいからね」 東京に着くまで、ずっと話し続けたのを覚えています。 改めて彼女の繊細さを知るとともに、他人の本質を鋭く見抜く彼女でさえ、“自分の武器の強さ”はなかなか自覚できるものではないのかと、タレント業の難しさも感じました。