天理、「バット短く思いきり良いスイング」で攻略 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第9日の29日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準々決勝が行われ、春夏計3回優勝の天理(奈良)が仙台育英(宮城)に10―3で勝利した。 【天理vs仙台育英の試合を写真特集で】 「思い切り良くスイングしてきなさい」 天理の中村監督が選手に伝えていた言葉に各打者が導き出した答えは、バットをいつもより短く持って直球を確実に仕留めること。二回から2番手でマウンドに上がった仙台育英のエース右腕・伊藤の最速147キロのストレートにも力負けすることなく攻略した。 同点の四回2死満塁。9番・政所(まどころ)は「真っすぐしかこない」と狙いを定めていた。初球こそカーブだったが、2球目以降はすべて直球。徐々にタイミングも合い始めると7球目を左前に運び、勝ち越しの2点適時打とした。続く内山も直球を流し打ち、左中間に2点二塁打。さらに五回、杉下も直球狙いが成功し2点二塁打を放つなど、一気に勝負を決めた。 普段の練習からマシン打撃で球速を150キロに設定し、速球に目を慣らしてきた。連続スイングや短いダッシュなど体のキレを増すトレーニングを積んできた上で、試合で取り組んでいるのがバットをいつもより指1~2本短く持つこと。球威のある直球に振り負けないよう意識した結果、大量点につながった。 1回戦は1失点完投、2回戦では完封と好調だったエース達の調子が振るわない中、打線が10得点とカバーした。「投手に頼ってばっかりの試合をしていたが、投手を助ける形で勝利できた」と中村監督。これで優勝した第69回大会(1997年)以来の4強入り。昨秋の近畿大会では8強止まりだったチームが、勢いに乗っている。【藤田健志】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。