あなたが経済ニュースをいくら読んでも「決して金持ちになれない」シンプルな理由「記事を作っているジャーナリストたちは…」
投資を成功させるうえで、ぜひ参考にしたいのは「経済ニュース」…という考え方は、ただの思いこみにすぎない。ここでは、あなたが経済ニュースをいくら読んでも「金持ちになれない」理由について解説。 【写真】この記事の写真を見る(4枚) 世界各国でベストセラーになった金融ジャーナリストのニコラ・ベルベ氏の新刊『 年1時間で億になる投資の正解 』(新潮社/土方奈美訳)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む) ◆◆◆
「ジャーナリストたちはまったく富豪などではない」
ほぼすべての投資家がニュースに関心を持っている。目的は危険なサインをキャッチすること、市場の現状を把握すること、そして今後何が起こるかをイメージすることだ。 ただ投資の観点からいうと新聞を読んだりテレビをつけたりといった行為は、資産を増やすより減らしてしまう可能性が高い。 最新の経済情勢に精通していれば金持ちになれるのなら、ジャーナリストはみな大富豪になるはずだ。親愛なる読者のみなさまにこっそり教えよう。ジャーナリストたちはまったく富豪などではない。 確かに経済ニュースはおもしろいし、資産運用に関する記事は私たちの人生に影響を及ぼすかもしれない。 だがボーイングの受注が予想を上回っただとか、ネットフリックスがここ3カ月で欧州連合域内のサブスク会員を新たに500万人獲得したとか、アップルが中国で地歩を固めるのに苦労しているといった情報は、投資家としての私たちに何の役にも立たない。 一番声の大きい者は、往々にして一番間違っている。たとえばジム・クレイマーはアメリカの金融ニュースチャンネル、CNBCの花形キャスターとして20年以上にわたり、景気や市場の状況に基づいて日々どの銘柄を売買すべきか推奨してきた。 これほどの専門知識や人脈を持つウォール街の象徴のような人物なら、パフォーマンスでS&P500を上回っているのではないかと思うだろう。 だが現実には、クレイマーは市場に勝ってはいない。数年前のある研究では、ジム・クレイマーが設立した投資ファンドの過去15年のリターンは65%であったのに対し、同期間のS&P500のリターンは70%だった。 つまりクレイマーがあれだけのエネルギーを注ぎ、何千件もの分析を重ね、有力な情報源に数えきれないほど電話をかけたにもかかわらず、投資家は彼にお金を預けるより単にアメリカの主要500社の株価と連動するETFを保有していたほうが儲かった計算になる。