輪島港、復旧で機能強化 埋め立て地、数年で造成 マリンタウン横、堆積の土砂活用
●県が新年度着手 荷さばき施設、移転集約 石川県は新年度、能登半島地震で被災した輪島港の機能強化に乗りだす。漁船を係留させる船だまりに堆積した土砂を活用し、数年かけて輪島市マリンタウン横に新たな埋め立て地を造成する。この一帯は、県漁協が漁船の水揚げ場となる荷さばき施設の移転集約候補地として県に整備を要請していた場所で、県は漁業者と足並みをそろえ、県内有数の水揚げを誇る輪島港の創造的復興を目指す。 輪島港の輪島崎地区から海士(あま)地区にかけて設けられている船だまりでは、地震による海底隆起で、3~4メートルあった水深が1メートル以上浅くなったとされており、撤去が必要な土砂の量は少なくとも7万立方メートルに上るとみられる。 県は新年度当初予算案に土砂の撤去費用を盛り込む方向で、浚渫(しゅんせつ)土砂を船だまりの南東側に位置する市マリンタウン横まで運び、1~2ヘクタール程度の範囲で埋め立てる計画だ。船だまりの土砂をどかすことで約200隻の漁船を停泊させることが可能になるという。 土砂は沖合にある防波堤の背後にも投入し、堤を補強。防波堤の裏側に水深1メートル程度のエリアを設け、稚魚が生息しやすい環境も整える。 輪島崎地区と海士地区には現在、漁業者が共同で利用する荷さばき施設がそれぞれあるが、県漁協は震災を受け、1カ所に集約する方針を決めている。候補地として市街地により近い市マリンタウン横を挙げ、県に埋め立て地を造成するよう求めていた。 県漁協の計画では、荷さばき施設や製氷施設、鮮魚の冷凍保冷庫、加工場などを備えた8千平方メートルの共同利用施設を2029年度までに完成させる目標を掲げている。 県はこのスケジュールに間に合うよう埋め立てを進めたい考え。また、国土交通省は輪島港の本格復旧の見通しについて「26年度中をめどに可能な限り早期を目指す」としている。 ●飯田港にも埋め立て地 公費解体のコンクリ生かす 県は新年度、地震で岸壁が傾いた珠洲市の飯田港でも埋め立て地の造成に着手する。市内の被災建物の公費解体で発生したコンクリート殻や災害復旧工事の土砂を生かし、効率的な施工につなげる。 埋め立て地は「ラポルトすず」の近接地に設け、広さは約2ヘクタール、岸壁の水深は4・0メートルから5・5メートルに下げることを想定している。完成には数年かかる見通しで、市が活用方法を検討する。