"芸人の墓場"から売れっ子事務所へ、ザコシが語るSMAの20年「第二のやす子は簡単には出てこない」
「ハリウッド軍団」の仲間たち
「若手の中に、『やす子の次は僕だろうなあ』と、勝手にその後に続けると思っているヤツがいたら、その時点でその先は絶対にあり得ません。バイきんぐ、錦鯉、僕も本当にお笑いが好きで、なのに本当にどこに行ってもダメで、一度は『もう辞めよう』と思った連中。そんなヤツらが必死になって自分を耕して、耕して、やっと小さな花が咲いた。そういうレベルの世界なんです。なんでね、数年で簡単に売れると思うなよ、やす子のような特殊なタイプを当たり前と思うなよって言いたいです。 またSMAが胡坐をかいて、『第二のやす子』が自然に出てくればいいなあ、と思っていりゃ大間違い。原石がそこら中に転がっているか⁉って話ですから」 や団が『キングオブコント』2年連続ファイナリスト、ロビンフットが『THE SECOND』のセミファイナル進出で盛り上がりを生み出すなど、SMAはベテランも活況が続いている。そのSMAのベテラン芸人たちの中で一大勢力として存在感を示しているのが、ザコシショウを軸とした集団、「ハリウッド軍団」だ。 構成員は、バイきんぐ、錦鯉を筆頭に、今や競馬でお馴染みのキャプテン渡辺、『水曜日のダウンタウン』企画「スベリ-1グランプリ」で存在感を示したジャック豆山、KOCファイナリストのだーりんず……etcと、濃厚な面々が揃っている。 メディア出演は適わず日の目を浴びずとも、劇場を軸に活動し地肩のある「ハリウッド軍団」の仲間たちをザコシショウは、YouTubeチャンネルへの出演、単独ライブのサポート起用、自らのラジオ番組に呼ぶなど長年に渡りフックアップし続けている。長きに渡り共に戦う彼らに対する思いは?と、問うと真剣な答えが返ってきた。 「2000年に吉本を辞めてナベプロに移籍して、そこでもダメでコンビを解散。1人になり、一度はお笑いを辞めて漫画家を目指すも、それも全然ダメ。もう一度芸人を始めるために、しがみついたのがSMAでした。当時の僕は芸歴だけ重ねて、正直一緒に入ってきた芸人たちは近寄りがたかったと思うんです。そんなとき、『G★MENSのザコシショウさんですよね?好きだったんです』と、僕を慕って色々な連中が集まってきてくれて。それが自然にハリウッド軍団として形成されていったんです。 そういう後輩がいなきゃ僕はずっと孤立していたと思うんです。芸人ってね、どう考えても一人じゃ売れることはできないもので。全然売れていないとき、慕ってくれたヤツらと和気あいあいしながら色々な面白い企画を考えたり動画を撮ることで、僕は救われてきた。自分が携わる何かに度々呼んでいるのは、それへの恩返しじゃないけれど、“ギリ食えないところぐらい”までは押し上げてやろうという気持ちがあるからなんです」 第一次UWF終焉後、新日本プロレスと合流し苦労する中、藤波辰巳との一戦を通じて、「無人島だと思ったら仲間がいた」と再確認した前田日明の姿が重なる。孤高の人は、孤独ではなくなったのだ。ただ、その仲間をあくまでも“食えるところまで押し上げる”わけではないところが実にザコシショウらしい。 「そうですよ、少しは押し上げるから、そこから先は自分で頑張れよ!って話ですから(笑)」