日本海に直面する「越前松島水族館」アクリル板の床から水槽を眺める「さんごの海」は、まるでグラス・ボトム・ボートのよう
世界に約400ある有料水族館のうち、150近くが日本にあるという。フォトグラファー・野辺地ジョージ氏が撮影する数々の被写体・シリーズの中で、最も古いのが水族館であり、少年時代の思い出をたどる「旅」だ。日本人にとっての水族館とは何なのか…写真と文で繙いていく 【写真】日本海をバックに高く跳ぶイルカ * * * * * * * ◆他の水族館とは異なる視点の展示 2021年の6月、まだコロナ禍で静かだった頃に北陸地方の撮影ロードトリップに出た。もちろん行程には水族館訪問も欠かせない。その際に訪れた福井県坂井市にある越前松島水族館は、日本海に直面している好立地を上手く活用している。 例えば、イルカショーは海をバックにしたアリーナで行われる。夏季は、目の前の海岸で「磯の生物観察会」という体験イベントも開催している。 また、「さんごの海」では、水槽の上に透明のアクリル板があり、透けた床から水槽の中を見下ろすようにできていて、他の水族館とは異なる視点を演出している。船底がガラス張りのグラス・ボトム・ボートと同じ概念である。
◆北陸新幹線開通前に再訪したい 2024年の春には北陸新幹線も敦賀まで延長され、今後はアクセスも便利になり、活気も増すであろう。しかし開通前にもう一度行きたいと思ったりもする。私の記憶に残るのは、海を眺める若いカップルの後ろでイルカが楽しそうに飛び跳ねていた、のどかなワンシーンである。 (本年は「シュール・ブルー」列島水族館写真巡りをご愛顧いただきありがとうございます。これからも全国を駆け回り、ちょっとシュールな、そしてちょっと懐かしい水族館の風景をお届けしますので引き続きどうぞ宜しくお願い致します。良いお年をお過ごしください。) (撮影=野辺地ジョージ)
野辺地ジョージ