【中央時評】ロシア傭兵派遣と金正恩の未来(1)
切迫した状況の2人の男が掛け金を合わせた。金正恩(キム・ジョンウン)はロシアに砲弾を売り、今は人まで投資している。プーチンは掛け金を増やして西側に「お前たちが退け」というメッセージを伝えた。タイミングも合わせた。米大統領選挙の前には有権者の票を狙い、今はもう新しく選出された大統領に圧力を加える。プーチンの賭けは成功するだろうか。ドナルド・トランプ候補が当選する場合、休戦や終戦が推進される可能性が高い。しかし欧州のNATO(北大西洋条約機構)加盟国や米国内部の反対にぶつかって意図した通りにならないこともある。現在としては欧州国家が防衛費用をより多く負担する条件で妥協するという見方が多い。この場合、米大統領選挙の結果とは関係なく戦争は続く。 戦争が続く場合、プーチンはロシアの青年の代わりに北朝鮮の若者を戦争に追加で投入することを望むだろう。金正恩もすでに戦争に足を踏み入れただけに、プーチンの要請を断るのは難しいはずだ。では両首脳は何をやり取りするだろうか。現在、金正恩の一次的な関心は外貨だ。北朝鮮は対中貿易で年20億ドルほどの赤字を出している。その半分は他の手段で充当できるだろうが、半分はあちこちの外貨をはたいて埋めるしかない。今年上半期の北朝鮮の対中輸入額はコロナ以前の2019年上半期の3分の2にすぎない。コロナ期間に必要な財貨を輸入できなかった点を考慮すると、かなり少ない金額だ。それでも現在、米ドルに対する北朝鮮ウォンの価値は年初比で半分になった。北朝鮮政権が使える外貨が大きく不足しているという信号だ。1人あたり月2000ドルを受けて4万人の軍人を戦場に送る場合、当分は為替を心配する必要がない。金正恩には魅力的な提案だ。 戦争が続けば金正恩に最善のシナリオが展開される機会が生じる。プーチンとしては金正恩との取引を経済と通常兵器技術分野に限定したいだろう。先端軍事技術を伝授する場合、韓国と西側だけでなく中国との関係でも大きな費用を払わなければいけないからだ。しかし北朝鮮と戦争共同体関係を維持するには、先端軍事技術も移転してほしいという要求を無視しがたい。さらに来年はプーチンの軍備主導成長に限界がくるとみられる。今まではロシアの国富ファンド積立金で戦争費用を無理なく調達できた。しかし来年は現在およそ500億ドルにすぎない国富ファンドの流動資産がなくなる見込みだ。総財政支出の40%、1800億ドル以上と推定される莫大な軍事費と治安費用を調達しなければならないからだ。不足する財政を埋めるために国債を発行する場合、金利が上がり、通貨を増発すればインフレーションが誘発される。そうなればプーチンもお金より先端軍事技術を与える方がよいと判断する可能性がある。お金と先端武器を同時に握った金正恩は核・経済並進が成功したと信じるだろう。