JR東日本・南武支線の「何かとお願いされる」駅は、浜川崎だけではなかった
浜川崎の駅が「三つ」なら、小田栄は「二つ」と言えなくもない。シンプルな〝駅舎〟と簡易改札機がある上り線、下り線用のホームが、道路(踏切)を挟んで対角線上に存在する。「千鳥式」と呼ばれる形で、路面電車以外では珍しいという。上りホームの改札機には「こちらは、浜川崎方面 尻手行きホームは、踏切を渡った先のホームです」との、誤乗車防止の「お願い」が貼ってあった。 次の川崎新町も小田栄から2分ほど。住宅地にある普通の駅だ。ただ線路の分岐がかなりややこしく、尻手方では並走していた東海道貨物支線の複線と南武支線の単線の計3線が浜川崎方面(上り)3線、尻手方面(下り)1線の計4線に再編。そしてホームを抜けた浜川崎方では、上りの3線がポイントを伝って1線にまとまり、貨物支線と南武支線が完全に合流した上下の複線となっていた。 駅の周囲には緑が多く、ホームは貨物列車の撮影ポイントだ。構内には「ホームで撮影されるお客さまへ」との尻手駅長名の「お願い」があった。フラッシュ撮影、三脚の使用、線路際での撮影、他の乗客への迷惑行為を禁止した後で「マナーを守って最高の一枚を」のうれしいひと言が添えられていた。
さらに2分で八丁畷へ。南武支線の独特な駅の中でも、その個性は浜川崎と並んで「横綱」「真打ち」級だろう。高架ホームでは「スイカ、またはパスモなど、ICカードでJR線から降りられたお客様は、青い改札機にカードをタッチしてください」と「お願い」の放送。浜川崎ではタッチするな、ここではタッチしろとはどういうことだ!と軽く突っ込みを入れながら「南武線から降りたらタッチ!」と大書きされた簡易改札機にパスモをタッチして階段を降りた。 1階の普通の自動改札機でもう一度タッチして(ここでの引き去り額はゼロ)、駅の外に出た。三角屋根の趣がある駅舎には「京急電鉄 八丁畷駅」の看板が。すぐ横の踏切を、京急のスマートな電車がひっきりなしに往来している。何も知らなければ、京急線単独の駅にしか見えない。「南武支線」を想起させるものを探しに駅に戻ったところ、時刻表とJR線の券売機があった。そのすぐ横に「列車の本数が少ないため、南武支線の時刻表をご確認の上、乗車券をお買い求めください」との「お願い」(何個目?)を見つけた。