【ライブレポート】「原因は自分にある。」は新たな高みへ。彼らが描く『架空のアウトライン』は進化の予兆
夢だったのかもしれない。2024年春、桜の蕾がひらく時期に合わせて幕を開けた、宮城・埼玉・愛知・福岡・大阪の5都市をめぐるホールツアー『架空のアウトライン』で、一夜の夢のようなコンセプチュアルなライブパフォーマンスを魅せつけた『原因は自分にある。(げんじぶ)』。 【独占写真あり】原因は自分にある。ホールツアー『架空のアウトライン』埼玉公演(全17枚) 3月31日、三郷市文化会館でおこなわれた埼玉公演、アンコールなしの潔いステージングは、まだまだ進化の途中にある彼らの底力と、今後も観測者たち(げんじぶファンの呼称)の心を掴んで離さない覚悟に満ちていた。
序盤からトップスピードで観測者の心を連れていく
3月13日に発表されたばかりのコンセプトEP『仮定法のあなたへ』を引っ提げての本ツアー。誰もが期待していた『マルチバース・アドベンチャー』から、げんじぶの輝かしいショーが始まる。 メインモニターには薔薇色を主としたツアーロゴが堂々と浮かびあがり、ステージを這うスモークの合間からげんじぶの7人が登場。ピンクを基調とし、袖元や襟に花やビジューがあしらわれた衣装は、さながら城からやってきた王子様のよう。高校を卒業したばかりの桜木雅哉は金髪になっており、大胆なイメチェン姿にさっそく観測者の歓声が上がる。 発表から2週間ほどしか経っていない『仮定法のあなたへ』オープニングタイトルでもある本曲だが、全力でパフォーマンスするげんじぶに負けないほど、観測者の息もぴったり。一寸の狂いもなくコールできるのは、事前にSNSにアップされた、メンバーたちによるレッスン動画のおかげだろう。 ファンを誰ひとり置いていかないげんじぶのライブ。序盤からトップスピードで観測者たちの心を絡めとったまま、長野凌大の「みなさん、今日は一緒に歌って楽しんでいきましょう!」の掛け声で、次曲『原因は君にもある。』へ。 ステージを交互に照らす白・青のライトに合わせ、客席では無数のペンライトが揺れる。空間に響きわたるクラップ。冒頭から吊り上げられたボルテージはそのままに、小泉光咲の透明なハイトーンボイスと、安定のフォーメーションダンスが融合する。杢代和人の決めゼリフ「明らかに観測者、君たちのせいだ」に酔いしれたと思えば、気づいたときには、虹色に明滅するライトに浮かびあがるげんじぶの7人から、目が離せなくなっている。 大倉空人の「みなさんの声を聞かせてください! せーの!」に煽られて、お馴染みの「ら・らららららら~♪」の大合唱。重ねられる「そんなもんですか?」の掛け声に置いていかれまいと、観測者もヒートアップしていく。「OK! みなさん最高です、ありがとう!」と太鼓判を捺された勢いのまま、げんじぶの大人気ナンバー『シェイクスピアに学ぶ恋愛定理』へとなだれ込んでいく。