ホーバークラフト事故を2度無報告、運航会社社長「事故と認識しなかった」「運航は問題なく行う」
大分県の別府湾で11月、約15年ぶりに旅客船として運航を始めた国内唯一のホーバークラフトを巡り、訓練中の2度の事故を国に報告しなかったなどとして元社員を含む船長ら7人が船員法違反容疑で書類送検されたことを受け、大分市の運航会社「大分第一ホーバードライブ」は4日、市内で記者会見を開いた。小田典史社長は、1件は事故との認識がなく、1件は事故報告書を提出していなかったとし、運航の安全性に問題はないと説明した。
7人は、3月2、21日の訓練中の事故を国土交通相に報告しなかったり、航海日誌への出入港などの記録を怠ったりしたとして、大分海上保安部に船員法違反容疑で書類送検され、大分区検が3日、不起訴とした。理由は明らかにしていない。
小田社長は会見で、3月2日に船体がフェンスに接触した事故を国に報告しなかった理由について、船体とフェンスに損傷がなかったため、「当初は事故と認識していなかった」と述べた。同21日の事故報告書は提出しそびれていたという。航海日誌の記載漏れについては公用ではない日誌に記入していたとし、「認識不足だった」とした。4月に海上保安庁の立ち入り検査を受けた後、5月に国交省九州運輸局に両事故の報告書を提出したという。
ホーバーを巡っては、少なくとも5回の事故が判明した。昨年11月の訓練初日に起こした事故についても、男性元船長が業務上過失往来危険容疑で書類送検され、後に不起訴となった。
同社は今年11月15日に九州運輸局から事業許可を受け、同30日に周遊運航を開始した。同社は12月中に、大分空港(大分県国東市)―大分市間を結ぶ定期航路の就航を目指している。
小田社長は「(報告した事故については)指摘を受け、是正している。周遊運航は問題なく行う。何の心配もなく乗船してもらえる」と強調した。
7月の事故、業務上過失往来危険の疑いで書類送検
一方、7月の訓練中に船体がスロープの側面に接触した公表済みの事故について、大分海保が操縦していた1人を業務上過失往来危険容疑で大分地検に書類送検していたことが同海保への取材で分かった。10月10日付。